異世界にいったったwwwww
11
澤の清らかな水の流れ。頂点の太陽の光が、背中にあたって暖かい。
まるで、殺し合いさえなければ遠足日和だとでも例えられる頃だった。
空高く鳥がなく。
「いたぞッ、奴らだ! いたぞ、あそこだ!」
追手の盗賊が梢の隙間から覗いた。
「案外はやいな。」
壮一の顔が獰猛になった。
「真希、いいな、そこらへんの石ころを投げつけろ。木にぶつけるだけでもいい。さあ。」
言われるがはやいか、手近な石を拾うと盗賊の方へ放擲した。
「糞アマがッ」
二人の後方に数人の盗賊の仲間が潜んでいた。
「――ッ!」
真希が少し先に転がったキャリーバックまで駆け出した。その近くにボーガンと矢尻が転がっている。
靴が川原の石に滑った。しかし、焦る指先を抑えてボーガンを拾った。ステンレス製の冷たさが肌を支配する。
(いける――いけるッ!)
彼女に野性が宿った。片膝をついて、槍で牽制する盗賊の足を狙う。
ボーガンを撃つ。 ピュン、と小高く一直線に弓が伸びた。槍の盗賊の太腿を貫く。 ぎゃあと盗賊が短く喚いた。
「真希!」
壮一が真希に一瞥を送る。彼は先ほどから拳銃で前方の盗賊がきた木の梢に撃ち込む。 跳弾で次々と盗賊が二三人崩れる。
(すごい!)
真希は眼を見張る。
戦争では本来、鉄砲を撃つと命中率は低い。しかも拳銃となると尚更である。しかし、ジャングルでの戦闘において、木々にわざと銃弾を撃ち込むことによって威力を上げるのだ。
まだ盗賊がやってくる。
「逃げるぞ!」
駆け寄った壮一が真希の手を握ると、周囲を警戒しつつ、緩やかに小走りする。 盗賊団が徐々に円をつくり、二人を囲む。 二人は立ち止まって背中合わせになった。
彼らはあくまで売り物として見ているらしく、傷つけないように弓矢などの飛び道具は使わない。 だが、その代わり、棘の付いた鉄の棒など、拷問道具に近い武器で威嚇した。 壮一が真希の耳元に呟く。
(まずいな……オレら、おしまいかもしれん。)
珍しく弱気な父の態度が、不意に真希を苦笑いさせた。
(なに、父さん、はじめて弱気になったじゃん。)
獰猛な顔の壮一の面がほころんだ。
(わりぃな。ホント。オレが全部悪い。)
絶えずなにかを思案する壮一を真希は目尻にとめた。
彼女は深く瞼を閉じる。今まで荒かった呼吸を鎮める。 遠くから「おい、大丈夫か!」と、人の気がした。
森の陰より現れたのは、盗賊とあまり変わりない男どもと後続に数騎の騎馬がきた。
彼らは小川を蹴飛ばし飛沫を散らす。
一群の先頭は大柄の男であった。縮れた金髪の、眉を怒らせる男だった。まるでライオンに思われた。しかし、涼やかな目元は壮一と真希を認めると、微笑した。 「いいか、そこの二人。動くなよ。いいな!」
吼えるかと錯覚した。
金髪の男の腰に佩いた大型の剣は、鞘をはしる。
銀色に煌めき、目前一人の盗賊を一閃した。
颯と風を切り首を刎ねた。
「ヒッ――!」
円を描いた盗賊が怯えた。
「あいつだ! おい、金鬼だ!」
酒やけしたような男の喉より声が漏れる。
次々と円を解いて突撃してきた一群へ迎撃の準備をした。
「いまだ!」
歩兵の部下五人に滑り込ませるようにして隊列を組ませて盗賊の半円の端を潰していく。
金髪の男は自ら先頭をゆき数騎を従え、中央の盗賊を蹴散らす。
「まいったな。こりゃすごい。」
壮一が解かれた円の隙間を抜けて距離をとった。
肩で息をした彼は、興奮したように真希に何度も呟く。いや、それは自分に言い聞かせてるみたいだった。
まるで、殺し合いさえなければ遠足日和だとでも例えられる頃だった。
空高く鳥がなく。
「いたぞッ、奴らだ! いたぞ、あそこだ!」
追手の盗賊が梢の隙間から覗いた。
「案外はやいな。」
壮一の顔が獰猛になった。
「真希、いいな、そこらへんの石ころを投げつけろ。木にぶつけるだけでもいい。さあ。」
言われるがはやいか、手近な石を拾うと盗賊の方へ放擲した。
「糞アマがッ」
二人の後方に数人の盗賊の仲間が潜んでいた。
「――ッ!」
真希が少し先に転がったキャリーバックまで駆け出した。その近くにボーガンと矢尻が転がっている。
靴が川原の石に滑った。しかし、焦る指先を抑えてボーガンを拾った。ステンレス製の冷たさが肌を支配する。
(いける――いけるッ!)
彼女に野性が宿った。片膝をついて、槍で牽制する盗賊の足を狙う。
ボーガンを撃つ。 ピュン、と小高く一直線に弓が伸びた。槍の盗賊の太腿を貫く。 ぎゃあと盗賊が短く喚いた。
「真希!」
壮一が真希に一瞥を送る。彼は先ほどから拳銃で前方の盗賊がきた木の梢に撃ち込む。 跳弾で次々と盗賊が二三人崩れる。
(すごい!)
真希は眼を見張る。
戦争では本来、鉄砲を撃つと命中率は低い。しかも拳銃となると尚更である。しかし、ジャングルでの戦闘において、木々にわざと銃弾を撃ち込むことによって威力を上げるのだ。
まだ盗賊がやってくる。
「逃げるぞ!」
駆け寄った壮一が真希の手を握ると、周囲を警戒しつつ、緩やかに小走りする。 盗賊団が徐々に円をつくり、二人を囲む。 二人は立ち止まって背中合わせになった。
彼らはあくまで売り物として見ているらしく、傷つけないように弓矢などの飛び道具は使わない。 だが、その代わり、棘の付いた鉄の棒など、拷問道具に近い武器で威嚇した。 壮一が真希の耳元に呟く。
(まずいな……オレら、おしまいかもしれん。)
珍しく弱気な父の態度が、不意に真希を苦笑いさせた。
(なに、父さん、はじめて弱気になったじゃん。)
獰猛な顔の壮一の面がほころんだ。
(わりぃな。ホント。オレが全部悪い。)
絶えずなにかを思案する壮一を真希は目尻にとめた。
彼女は深く瞼を閉じる。今まで荒かった呼吸を鎮める。 遠くから「おい、大丈夫か!」と、人の気がした。
森の陰より現れたのは、盗賊とあまり変わりない男どもと後続に数騎の騎馬がきた。
彼らは小川を蹴飛ばし飛沫を散らす。
一群の先頭は大柄の男であった。縮れた金髪の、眉を怒らせる男だった。まるでライオンに思われた。しかし、涼やかな目元は壮一と真希を認めると、微笑した。 「いいか、そこの二人。動くなよ。いいな!」
吼えるかと錯覚した。
金髪の男の腰に佩いた大型の剣は、鞘をはしる。
銀色に煌めき、目前一人の盗賊を一閃した。
颯と風を切り首を刎ねた。
「ヒッ――!」
円を描いた盗賊が怯えた。
「あいつだ! おい、金鬼だ!」
酒やけしたような男の喉より声が漏れる。
次々と円を解いて突撃してきた一群へ迎撃の準備をした。
「いまだ!」
歩兵の部下五人に滑り込ませるようにして隊列を組ませて盗賊の半円の端を潰していく。
金髪の男は自ら先頭をゆき数騎を従え、中央の盗賊を蹴散らす。
「まいったな。こりゃすごい。」
壮一が解かれた円の隙間を抜けて距離をとった。
肩で息をした彼は、興奮したように真希に何度も呟く。いや、それは自分に言い聞かせてるみたいだった。
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