犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと担任の先生(1)

まさか犬女ちゃんが
クラスメイトになる日が来ようとは。


今の純心の率直な気持ちだ。


初日は純心から
離れないほうがいいだろう
という配慮で、犬女ちゃんは、
純心のクラスに帯同していた。




ホームルームの最初に、
クラスを担任する小夜子先生が、
改めて犬女ちゃんを
紹介するということで、
犬女ちゃんは教壇に呼び出された。


小夜子先生は、美人な上に、
背が高くてスタイルも良く、
それこそモデルのような
ルックスをしている。


ただ目付きが非情にキツく、
見るからに気が強そうでもある。
普段は眼鏡をしているが、
眼鏡の下から鋭い眼光を
投げかけられると、男子は
思わず動けなくなってしまう。


いつもピチピチの
短めなタイトスカートに、
黒のパンスト、踵が高いヒール、
というファッションで、
男子生徒からはセクシーな
成人女性として見られ、
影では秘かに人気がある。


だが、
堂々とそれを言う者は
誰一人としていない。
そんなことが知られたら、
どんなお叱りを受けるか
わからないからだ。


おそらくその見た目からしても、
相当なドSなのではないかと
兼ねてより純心は思っていた。




みなの前に出てくると
犬女ちゃんは、いきなり
小夜子先生の
股間の匂いを嗅ぎ始め、
タイトスカートの中に
頭を突っ込んだ。


「きゃぁぁぁぁぁ!」


小夜子先生は
短い悲鳴を上げる。


突っ込んだと言っても、
ピチピチな
タイトスカートであるため、
頭が入る余裕などが
あるはずもなく、
小夜子先生のスカートは
お腹の辺りまで
すべて捲り上げられ、
黒いパンスト越しに
セクシーなレースの下着が
ばっちり丸見え、
もはや全開状態である。


『しまった!』


純心は焦った。


『いいか、お前、
絶対生徒の股間の匂いとか
嗅いだらだめだからな』


確かに純心はそう言った。


生徒はダメ、
つまり先生ならOKだと
犬女ちゃんは思ったに違いない。


なぜそんな細かい
言葉のニュアンスが
正確に伝わったのかは謎だが。




先生は驚きのあまり、
顔を紅潮させたまま
固まってしまっている。


『はい、
初日から出入り禁止来たー』


純心はやれやれと
いった気分で天を仰いだ。


学校に来て早々、
これでクラスメイトの
第一印象は最悪なものと
なってしまっただろう、
と純心は思う。


だが、
クラスを見渡すと
男子は全員、
親指を立てて
犬女ちゃんに
エールを送っていた。


クラスの男子は
心を一つにして、
女子に聞こえぬよう
心の中で叫んだ。


『犬女ちゃん、グッジョブ!』




男子は
ラッキースケベと思って
喜んでいるが、
問題は女子である。


女子は
こういう事件が起きると
どん引きして、犬女ちゃんに
近寄らなくなるだろう。
この先、犬女ちゃんへの
風当たりが冷たくなってしまう。




「犬女ちゃん、
緊張して、恥ずかしがって
隠れようとしているんだよね」


そこでフォローを入れたのは
同じクラスのジャガイモだった。


『ナイス!ジャガイモ』


犬女ちゃんに縁がある友達が、
同じクラスだったのは幸運だった。


「そうですな、
犬女殿は恥ずかしがり屋さんですからな」


続いてメガネが興奮のあまり
鼻血を流しながらフォローする。


『お前、年上なら誰でもいいんかい!』


ちょっと違うところに
突っ込んでしまった。


「恥ずかしがり屋さんで可愛いですぞ」


ドルオタはそこからなんとか
可愛いに誘導しようと試みた。


大きな瞳で、
きょとんとした顔を
している犬女ちゃん。
まるで「何かあったの?」と
言いたげな様子だ。


「なんだー」
「恥ずかしがり屋さんなんだー」
「やだー、可愛いー」
「やっぱり、緊張するよねー」


三馬鹿トリオの
フォローもあって、
クラスの女子も、
恥ずかしがり屋さんの犬女ちゃんが
可愛らしく恥ずかしがったのだ、
という空気作りに成功した。


『お前ら、グッジョブ!』
『だが、犬女ちゃんの
おっぱいは触らせてやらんからな』


それはそれ、これはこれ。




クラスの生徒達の前で、
スカートめくりをされ、
セクシー下着を
全開にされてしまった
小夜子先生は、
顔を紅潮させ、
ハァハァと息を荒げ、
呼吸している。
怒りのあまりに
頭に血が上って
興奮しているようにも見える。


『やばい、
これは相当怒らせたぞ』


小夜子先生は
そのショックを
引きずったまま
ホームルームをはじめたが、
いつまでも興奮は
おさまらないようだった。


『これはまずい、
後でちゃんと謝りに行かないと』


初日から早速これでは、
この先が思いやられる純心だった。











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