犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとお洋服(3)

店にはいろいろな犬女用の服が置いてあった。
犬女用の服など気にしたことがなかった、
純心はその種類の多さに驚いた。


「なんかすげえいっぱあるんだな」
「あたしも初めてちゃんと見るなあ」
「なんか可愛いのが多いですね」


基本的に犬女の服は、
動きやすいものになっている。
犬女ちゃんの服が、
下がホットパンツで、
上がノースリーブなのも、
動きやすい犬女用の服だからであった。


犬女ちゃんの髪がショートカットなのも、
犬女ちゃんが動きやすいようにとおばあちゃんが考えて、
いつもカットしてあげていたからだった。




社会的には犬女は
扱いづらい存在であった。


犬に属する扱いであるから、
本来は裸でいいはずなのだが。


だからと言って裸でうろうろされては、
人には刺激が強過ぎた。


かといって服を着せれば、
今度は手が使えないので、
自分で脱いだり着たり出来ないという、
なんとも面倒くさい存在であった。


だから犬女用の服には、
トイレのとき用に、
手を引っ掛けて下げれば
すぐにパンツが脱げる紐が着いていた。


紐を上げれば、
隠すことも出来る程度には機能している。
飼われている犬女は
ちゃんとこれが出来るように、
トイレと一緒に最初にしつけられる




「白のフリフリとか可愛いですね」
お嬢様は自分が好きなフリフリをお勧めする。


「あたしは水着みたいのがいいかな」
確かに生地が違うだけで、
布の表面積は水着とたいして変わらない。


「これ試着とか出来るんですか?」
犬女ちゃんは、女子二人のおすすめを次々と試着する。


「せっかくだから写メ撮っておこうっと」
夏希はガンガン写メを撮りまくる。


「それでは私も、せっかくですので。」
つられてお嬢様まで写メを撮りはじめる。


もはや着せ替え人形として
遊ばれているみたいな犬女ちゃん。
それでもみんなに可愛い、可愛いと言われて、
犬女ちゃんはご満悦だった。






お店の一角には、
別室になっているようなコーナーがあった。
そこの入り口には、
ピンク色の暖簾みたいなものがかけられ、
デッカくハートマークが着いている。
特に十八歳未満立ち入り禁止とは書いていない。


「あちらのコーナーはなんなのでしょうか?」
世間知らずなのに、研究熱心なお嬢様は興味津々だ。


なんとなく察しがついている、
純心と夏希は顔を赤くしている。


「ちょっとお前止めて来いよ」
純心が小声で夏希に言う。


「嫌よ、あたしだって恥ずかしいんだから」
夏希は顔を真っ赤にしてもじもじしている。


「そちらは、犬女さんを、
夜のパートナーにしていらっしゃる方のための、
コーナーなんですよ。
もちろん、犬女さんの同意を得ている方ばかりですが。」


店員のお姉さんが、
十代の女子が恥ずかしらないように、
直接表現ではなく、婉曲的表現で、
それとなく意味を伝えようとする。


「夜のパートナーって、どういことですの?」
「犬女さんの同意ってどうやて取るんですか?」
全く意味がわかっていない、
研究熱心なお嬢様は、むしろ興味を惹かれ、
お姉さんに大声でガンガン質問しはじめる。


しまいには店員のお姉さんが、
顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。


「知らないってこわいわー」
赤い顔でうつむいている夏希。


「勉強熱心過ぎるだろ」


店員のお姉さんに、ついに
中に入ってその目で確かめてください、
と言わせしめたお嬢様は、
大声で純心と夏希を呼んだ。


「純心さん、夏希さん、
入っていいそうですよ!
一緒に入りましょうよ!」
知的好奇心に興奮しているお嬢様は、
大声で純心と夏希を呼び続ける。


純心と夏希からすれば、
衆人環視の中、大声で、
レンタルビデオ店のアダルトコーナーに、
呼ばれているようものだ。


「もう!一体どんな羞恥プレイなのよ!」
「まったく悪気がないのがなぁ」
顔を真っ赤にしてうつむく純心と夏希。


その様を見ていた店内の他のお客さんは
必死に笑いをこらえていた。


結局一人で突撃したお嬢様は、
出て来ると大声で純心と夏希に呼びかけた。
「純心さん、夏希さん、
ローションみたいなのとか
パンクみたいな服が、
いっぱいありましたわ!」
お嬢様には、何をするものか
見てもわからなかったようだ。


「もう本当に勘弁して」
純心と夏希は、恥ずかしさに耐える。




お嬢様は、そこで見つけたよさそうな服を
犬女ちゃんにプレゼントすると言い張った。


「こういうの犬女さんが着ると、
どうなるのか見てみたいんですの!」
前回に続き変なスイッチが入ってしまったお嬢様。


純心と夏希の間では、
これ以上騒がれても恥ずかしいので、
とりあえず好きにさせておこう、
という話になった。




純心は、次いつ買いに来られるかわからないので、
多めに新しい犬女ちゃんの服を買って帰ることにする。


というわけで犬女ちゃんは、
白いフリフリの服とか、
一週間毎日着替えても
大丈夫なぐらいの服を買ってもらった。


可愛い、可愛いと
みんなにいっぱい言ってもらえて、
ご機嫌な犬女ちゃんだった。

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