犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとお散歩

「うわあああああ!」
翌朝も純心の悲鳴で一日がはじまった。
やはり犬女ちゃんは、純心の横に添い寝して、
すやすや愛くるしい寝顔で眠っていた。


純心は犬女ちゃんを散歩に連れて行くために、
朝五時に目覚ましをセットしていた。


人通りが少ない田舎とは言え、
日中はそれなりに人目につく可能性がある。
夜の散歩はそれこそ、ハイレベルな変態か、
性犯罪者に間違われかねない。
だから、人がほとんどいないような、
早朝に散歩をするしかなかった。


犬女ちゃんの散歩の支度をする純心。
悩んだ末に、犬女ちゃんに、
リードをつけないことにした。


もしどこかに行ってしまったら、
諦めて探すしかないと思っていた。
幸い今日はまだ休みの最後の日でもあるし。


変態的な行為に見られるのが
嫌だったのはもちろんだが、
リードに縛られているのは可哀想だとも思った。
もっと自由でいいじゃないのかと思ったのは、
純心がまだ思春期だからかもしれない。


一応飼われている犬女であることが
すぐわかるよう、首輪だけはさせた。
まぁ服を着ている時点で、
野良の犬女でないことは、
一目瞭然ではあったが。
首輪には、はぐれたときのために、
家の住所が書かれているプレートを着けておいた。




知らない土地でのお散歩に犬女ちゃんは、
興奮して尻尾を振ってはしゃいでいた。


全力で遠くまで走っていったかと思うと、
また全力で純心のもとまで戻ってくる、
そんなことを繰り返していた。




犬女ちゃんが、
おばあちゃん家にいた時は、
広い庭があったから、
そこを毎日駆けずり回っていた。


外から家に上がる時は、
おばあちゃんが用意してくれている雑巾で、
よく手足を拭いてから家の中に入った。


たまにおばあちゃんが
散歩に連れて行ってくれることもあった。
おばあちゃんもやはり
犬女ちゃんにリードを着けなかった。
それでも犬女ちゃんは
おばあちゃんのそばにいた。
足の悪いおばあちゃんに合わせて歩いた。
ごく稀に興奮し過ぎて走って
はぐれてしまうこともあったが。




純心は、犬女ちゃんが、犬のように
マーキングをしないか心配していたが、
特にそうした様子は見られなかった。
おばあちゃんが外でそういうことをしないように
躾けていたのだろう。


マーキングされたらされたで、
見た目JKの美少女が、
野外で片足を上げて、
液体をまき散らすという、
惨事が起こってしまうので、
純心はホッとしていた。




朝も早い時間なので、
予想通り人通りは少なかったが、
それでもすれ違う人はみんな珍しがって、
犬女ちゃんを見ていた。


今どきは犬女も段々と
少なくなって来ているから、
めったに見かけることも
なくなったのだろう。


反応を示して声を掛けて来るのは、
だいたい女性だった。
女性達は犬女ちゃんを見て、
可愛いという言葉を連呼した。
中には写メを撮らせてほしいという
女子高生やOLさんもいた。


『もしかしたら、
こいつ連れ歩いてたら、
大勢の女子と知り合いに
なれるんじゃないだろうか。』


『犬女さん、
もしかしてあなたは、
そのために私のところに
来てくださったのですか。
もてない私のために遣わされた
天使か何かですか?あなたは』


純心も年頃なだけに、
女子に興味津々だった。
ただ犬女ちゃんを
犬側の存在と思っていただけで。


純心はそんな邪なことを考えていたが、
犬女ちゃんは、みんなに褒められたり、
頭を撫でられたりして、
興奮して尻尾を振って喜んでいた。




ただ純心の考えもあながち外れておらず、
犬女ちゃんのお陰で、この後、
運命的な出会いを果たすことになる。

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