史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

伝説の巨神

天から降りて来た三人目の神は、
とてつもなく大きかった。
まさしく巨神。


人間世界の基準で言えば
おそらく千メートル程度はあろう巨神。


空を覆い隠す暗雲から
地上へと徐々に降りて来る様は
雄大ですらあった。


巨神が歩を進めるだけで、
振動が響き、砂煙が立つ、
巨神からすれば
この世界はあまりに小さいのかもしれない。


-


神々が犯したミスを
もうひとつ上げるならば、
髑髏に倒された神が
その血を吸われてしまった
ということになるだろう。


願いを叶える女神を含めれば、
既に三人の神を倒し、
その血を吸い、その能力を吸収した髑髏は、
もはや神々にも等しい能力を備えつつある。


これまでも魔神と呼ばれ
『神』の文字を冠してはいたが、
ついに本当の神に近づきつつあった。




これまでは、
神との圧倒的なスケールのハンデを
全身を刃や拳に見立て補って来たが、
今度は自らを巨大化させ戦う髑髏。


神々から吸収した能力と
怨霊である闇のオーラを併せ
巨大化した怨霊の鎧を纏った究極魔神が、
天から来た巨神と相対する。


-


富士山のように数千メートルもある
山々が連なる山脈に囲まれ対峙する両者。


この世界中に放たれた『神の裁き』により
山々は半ば崩壊しかけており、
脆く崩れやすくなっている。


髑髏が拳を繰り出すと、
巨神はこれをかわし、その拳は山に直撃。
崩れかけていた山はぜ、
跡形もなくただの土と砂に還る。


殴りかかる巨神の手を掴み
髑髏が巨神を投げ飛ばすと、
巨神は山脈に激突し
土や砂を撒き散らし
山そのものを崩し去る。


巨神は小山に手をつき
これを崩しながらも
その反動で巨体を宙に浮かべ
髑髏にドロップキックを喰らわせた。
轟音を響かせ砂煙を上げ倒れる髑髏。




この両者による格闘戦は、
まるで伝説の神話に出て来る
巨神同士の戦いのようでもあった。


巨神が崩れかけの山を蹴り上げ、
髑髏に大量の土と砂が掛かると、
巨神はその隙に髑髏の足元を狙った
タックルをぶちかます。


轟音と共に倒れる髑髏、
その上に跨りマウントを取る巨神は
上から拳を振り下ろす。


これを腕でブロックする髑髏は、
足を巨神の首に掛け、
その体勢を引っくり返した。




滅び行く世界の大地を
地ならしをするかのように
取っ組み合い、転げ回り、
すべてを押し潰して行く二体の巨神。


延々と続けられる
巨神と巨大髑髏による
レスリングのような戦いは
この異世界に残された地上、
その広範囲で繰り広げられた。


そして、残されていた地上は
凹凸も何もない
ただの平地へとその姿を変えていく。


まるで二人の巨神によって、
地上が、大地が
つくり変えられていくかのように。


-


最後は弱った巨神に
髑髏の拳がとどめを刺し
巨神が動かなくなって決着を見たが、
大地に倒れ伏す巨神もまた
土へと還って行くのか。


この異世界の地に再び生命が、
人間が再生することはあるのか、
それは誰にもわからない。











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