史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

生き残った最後の勇者

「俺のこの手でタケシを倒すっ!」


生き残った最後の一人、
その勇者になった岩槻は
神々の力を得て髑髏に立ち向かう。


神々の力によってつくられし神衣カムイ
その光り輝く鎧を体に纏い、
手にしているのはまさしく
神々がつくりし聖なる力の剣、聖剣。


神の加護、
聖なる力の加護ということなのか、
最後の勇者は光のオーラを放ち光輝く。


-


最後の勇者が振るう聖剣に
打ちのめされる髑髏。
以前の木の勇者、岩槻などとは
比べるべくもない圧倒的な強さ。


「ふっ、はははっ」


究極魔神以来の強敵、
自分と対等に殴り合える者の出現に
髑髏であるタケシは武者震いする。




両手持ちの大剣である聖剣を
軽々と片手で振り回すパワー、
しかしモーションも大きいので
まだ隙はあった。


隙を付いて繰り出す
髑髏の渾身の一撃、
しかし勇者は背後を向き
背負っていた聖なる盾でこれを防ぐ。


勇者がこちらに向き直るその隙に
もう一度拳を繰り出すが、
振り下ろされた聖剣に
拳は真っ二つに切り裂かれた。


「ふっ、はははっ」




勇者の聖なる力に触発されたかのように
髑髏からも黒いオーラが発せられ、
怨霊のような闇のオーラが目を覚ます。


勇者の聖剣に髑髏が斬りつけられる度に
放出されるオーラの量が増していき、
やがて髑髏の全身を覆い、包み込み
そこで固定され、硬質化される。


怨霊の鎧。


怨霊の鎧は、単なる防御だけではなく
勇者が持つ聖なる力を喰らおうとしていた。
何がそうさせるのかは分からない。
いずれにしろタケシには
興味がないであろうが。


-


神衣を着けた勇者と
怨霊の鎧を纏った髑髏、
二人の激しい攻防は続いた。


両者共にスピードや技で
勝負するタイプではないので
ここでもまた壮絶などつき合いとなる。




聖剣で首を落とそうと狙って来る勇者、
髑髏はこれを腕でカードするも
鎧を貫通して腕に刺さった。


勇者はこれを抜こうとするが、
腕が聖剣ごと硬質化されており、
簡単には抜けない。


刺さっている箇所が再生をはじめ、
聖剣を体の一部に取り込もうとする。


勇者は思い切り
髑髏を蹴飛ばして、突き離す。
再び髑髏の腕からは血飛沫が上がった。




最後の勇者が放つ光のオーラと
髑髏が放つ闇のオーラもまた絡み合う。
闇のオーラは執拗に
光のオーラを喰らおとしている。


-


「ふっ、はははっ」


延々と続くどつき合いに
高笑いを上げる髑髏。


この二人、スタミナや疲労が
再生能力の範疇扱いで回復されるため、
消耗するということがない。


それでも髑髏の再生阻害能力が、
神々の力による回復能力を上回り、
最後の勇者はその体を貫かれて
終わりを迎える。


「な、なぜだっ、
俺の願いはお前をこの手で倒すこと、
神は俺の願いを叶えてくれるのでは
なかったのかっ?」


最後の勇者である岩槻は
そう言って崩れ落ちた。


「馬鹿がっ」
「神なんぞ、信じるからだ」













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