史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

究極魔神

銀の髑髏スカルである
タケシの血を吸った赤の髑髏。


肉体に変化が起こり、
体全体が膨らんだり縮んだりを繰り返し、
赤の髑髏である鳴門なると
全身が引き裂かれ、
燃えているような激痛に耐える。


体の筋肉がふた周り程
大きくなったぐらいで
肉体の変化は収束して止まった。


赤がベースとなってはいるが
骨にあたる箇所には銀色の要素が入り、
メタリックレッドのような輝きを増す。
肉の部分は黒く、
魔王の血を吸った時のままである。


体中にみなぎる力を感じる鳴門。


魔神へと改造された時もあったその感覚、
しかしそれとは比べ物にならないぐらいに
これまでの自分を遥かに凌駕したという自覚。


そしてその力が
輝きを放つオーラとなって、
己の身に纏われている。


「これが、究極魔神」


究極魔神となった赤い髑髏は、立ち上がる。


「待たせたね」


狂気の笑みを浮かべるタケシ。


「ふっ、はははっ」
「そうだ、それでいい」


タケシもまた銀の髑髏へとその身を変える。


-


髑髏の顔面に究極魔神の拳が衝突し、
遥か後方へと吹き飛ばされた。


それは風圧だけで周囲の木々をなぎ倒し、
何かが焼け焦げたような匂いを残し、
轟音を遠くまで響き渡らせる。


これまで全く敵なしだった髑髏が、
まるで歯が立たず翻弄されていた。


飛んだ先で待ち構える究極魔神、
再び髑髏をぶっ飛ばす、
何度もそれが繰り返され
髑髏は地に着くことすら許されない。


スピードもパワーも
髑髏を完全に凌駕する究極魔神。


何度となく叩きのめされる髑髏だが、
その驚異的な再生能力により、
損傷はすぐに復元される。


「ふっ、はははっ」
「ふっ、はははっ」


絶望的な状況であるにも関わらず、
狂喜に満ちた笑い声を上げるタケシ。


-


これまでの魔神をはじめとする戦いで、
圧倒的な力の差で勝って来た髑髏。
それは殺戮の単純作業にも近かった。
そのため鈍っていたタケシの闘争本能、野生が
極限の状態に追い込まれ、研ぎ澄まされて行く。


灼けつくようなヒリヒリした感覚、
一瞬の境が生死を分かつ緊張感、
刹那の差で残酷なまでに異なる結末。


自らの命に執着はなかったが、
タケシが望むのはそういうものであった。




究極魔神はその軌道を
完全に見切っていた筈なのに、
髑髏の拳が当たりはじめる。
直撃ではないが体の末端に
当たる数が増えていく。


同時に魔神の攻撃が
髑髏の急所を外れることも増えていく。


少しずつ魔神の感覚と
髑髏の動きがずれはじめているのだ。


次第に髑髏の体から
微かなオーラが放たれ出す。


それはとてもこの世のモノとは思えない、
酷く禍々しい闇のオーラであった。













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