史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

トリックスター

「お宅が、脳筋の殴り合い馬鹿で、
ホント、助かったよ」


正面からの勝負では分が悪いと判断した
赤い髑髏の鳴門なると
魔神や魔物から吸収したトリッキーな能力で
銀の髑髏であるタケシを翻弄する。


足場が安定している地上では
銀の拳はその威力が何倍にも増すため、
蝙蝠の羽根で常に宙に浮き
足場が不安定である空中を主戦場とした。




仙人掌サボテンの棘に毒を付着した
超硬質毒針を指の間に何本も挟む赤い髑髏。


「これ、毒つきだからっ!」


そう言いながら毒針を投げ、
銀の髑髏がこれをかわすと
そこには既に赤い髑髏が先回りしており、
銀の顔に赤い拳が打ち込まれる。
予め毒針をかわす方向を限定するように
赤い髑髏はこれを投げていた。


数百メートル後方まで吹き飛ぶ銀の髑髏、
そこを先回りして追い撃ちをかける赤い髑髏。


これを銀の腕でブロックすると、
銀の髑髏は足蹴りを出すが、
これを読んでいた赤い髑髏は後ろに飛びかわす。


「ふっ、はははっ」
「ふっ、はははははははっ」


戦う度に昂揚感が増して行くタケシ。


-


触手で銀の体を拘束し、
これを引き千切るその隙に、
背後に回り銀の髑髏を蹴り飛ばす。


本来の髑髏タイプの戦闘は
倒した敵から吸収した能力をフル活用する
赤い髑髏のような戦闘スタイルが想定されていたが、
ほとんどの敵を殴って倒して来た
タケシは規格外だとも言える。


しかし、どれ程トリッキーな技を繰り出そうとも
地力で勝る銀の髑髏に赤い髑髏は押されはじめる。
そこはどうしてもあやめて来た
魔神、魔物の数が桁違いに違う。


そしてスピードこそ対等以上ではあるが、
銀の髑髏の一撃は一つ一つが格段に重い。
しかも、拳を交わすごとに、
どんどん重くなって来ていると鳴門は感じる。
この戦いの中でタケシの闘争本能、野生が
ますます激しくなっているということか。
それはまさしく一撃必殺の拳。


-


超高速で空を飛び、逃げる赤い髑髏、
そしてそれを追う銀の髑髏、
それはまるで超高速の追いかけっこ。


急上昇、急降下を繰り返し、
相手を振り切ろうとうする赤い髑髏。
途中で追いつかれ何度か拳を交わすが、
また離れては逃げ、銀の髑髏はこれを追う。


そうして再び魔王城に舞い戻って来た二人、
追われる赤がドラゴンの顔の直前で急上昇し、
銀の髑髏は激突の寸前で止まるが、
背後から体当たりされ
ドラゴンが開けた口の中に放り込まれる。


その拳でドラゴンの歯をすべてへし折り、
外へと飛び出す銀の髑髏。


「ふっ、はははっ」
「もっとだ!もっと俺を楽しませろ」


タケシの昂揚はますますエスカレートし、
膨れ上がり、止まることを知らない。


-


ドラゴンの背中、魔王城は既に崩落していたが、
赤い髑髏はその瓦礫を次々と
宙に浮く髑髏に向かって投げ続ける。


それが攻撃なのか
それともまた何かのトリックなのか
銀の髑髏は判断に迷う。


そして赤い髑髏が地を蹴り、
超スピードでこちらに向かって突っ込んで来る。


これを迎撃すべく構える銀の髑髏。


しかし赤い髑髏は、
ずれた場所に向かって行き、
銀の髑髏を横切る。


銀の髑髏は一瞬、判断に迷った。


それが隙となる。


赤い髑髏はそのまま
宙に投げた瓦礫を足場として反転直進し、
斜め後ろから髑髏の左腕を切り落す。


赤い手は超硬質のブレードと化しており、
そこに全エネルギーが集中されていた。


さらに瓦礫の足場を使い
空間を跳ね回る空中殺法を繰り出し、
四方八方から銀の髑髏を切りつけて
その四肢を切断して行く。


手足を切断されたまま宙に浮く銀の髑髏、
後はその心臓を貫くのみ、
赤い髑髏は勝利を確信した。











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