史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

集中砲火

人間世界では世界各国の軍事拠点が
基地ごと消失する事件が相次ぎ、
連日大騒ぎとなる。


もちろんそれは
死神導師の魔道士軍団による仕業であり、
大掛かりな異世界への
転移魔法を駆使したものであった。


日本の自衛隊が、超大国が誇る海上艦隊が、
その他にも各国の軍事拠点が
次々と姿を消して行く。


魔王軍はこの先、
人間世界を滅ぼすことも
視野に入れているのであろう。
その意味では敵戦力をこうした形で
消失させることは理に適っているとも言えた。


異世界に連れて来られた兵士達は、
ここがどこかもわからぬままに
催眠や洗脳術を掛けられ、
対髑髏用兵力に加えられていく。


こうやって、死神導師は短期間の内に、
対髑髏戦の大部隊をつくり上げたのであった。


-


バイクに乗るタケシが見上げると、
そこには巨大亀の後ろ姿が見える。


死神導師から宣戦布告を受けたタケシ、
導師の拠点である城を背中に乗せた巨大亀、
その後を追走していた。


巨大亀は迎撃ポイントである
海が見える沿岸部まで到達すると
その歩みを止め、タケシを待つ。




バイクが林道を抜け平野部に出ると、
それを合図に敵の攻撃が開始される。


長距離から敵の砲弾が次々と飛んで来るが、
これを左右に避けかわすタケシ。


止むことのない爆音と爆煙。
しかもその命中精度は段々上がって来ている。
敵もまだその調整を行っているに過ぎない。




爆風に巻き込まれ
バイクから放り出されるタケシ、
それが第二の合図なのか
四方八方から敵の攻撃が開始される。


砲弾からミサイルまで、集中砲火がはじまる。
タケシはその身を髑髏スカルの姿に変えて、
これを防ぐ。


最初こそかわしていた髑髏だが、
その数のあまりの多さに
ついにかわし切れなくなり、被弾する。




雨霰あめあられの如く降り注ぐ砲撃、
止むことのない集中砲火。


地上部隊や戦車からの砲撃、
空からは爆撃機並びに
大編隊の戦闘機からの対地ミサイル。


海上には数十隻の大艦隊から
放たれる対地長距離ミサイル。




人間世界の現代兵器では
そのような長距離から狙って
ピンポイントで人間に当てることなど不可能だが、
死神導師が誇る魔道師軍団が
それを可能なものとしていた。


魔力キャンセラーを有する髑髏に
魔法攻撃自体は効果がないが、
人間世界の物理兵器を補助する魔法は有効になる。


砲弾の命中精度を上げる、加速させる、
射程距離を伸ばす、威力を上げる、
そうした補助魔法を実弾兵器に掛ける。


魔法はあくまで補助であり、
髑髏を攻撃しダメージを与えるのは
実弾つまり物理兵器。


これが死神導師が考えた
魔道士を活かした対髑髏迎撃作戦。




地上から、空から、海から、
止むことのない集中砲火の中、
ついにかわしきれなくなり連続被弾する髑髏。













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