史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

髑髏、迎撃作戦

タケシが絶対に見つけ出すことが出来ない場所に
魔王の拠点である魔王城は存在している。


全身を黒いマントで覆い、
円錐形に尖った黒い頭巾姿の魔王。
その正体は魔王軍の幹部にも明かされていない。


その前にひざまず
白いタキシードに白いマントを羽織った
怪しい風体の初老の紳士。


タケシをこの異世界に拉致して来た張本人であり、
その他にも多くの人間達をさらい、
時にはだまして、
多数の改造魔神を生み出して来た。


『魔王軍幹部・死神導師』


「死神導師よ、
ついに我が軍の幹部二人が倒された、
タケシによって」


「そろそろ、タケシと雌雄を決する時
ということでございましょうな。


さすがは究極の魔神、その最有力候補者、
これだけの短期間でここまでになるとは、
想像を遥かに越えておりましたな」


「して、タケシを、
いや魔神・髑髏スカル
倒す算段は出来ているのか?」


「もちろんでございます」


「奴には魔法攻撃は通用せぬ、
導師自慢の魔道師軍団も今回ばかりは
役に立たぬのではないか?」


「確かに、
魔力キャンセラーを持つ奴には
魔法攻撃は効きませぬ」


「いや、もはや通常の魔神の
肉弾戦でも歯が立たぬことでしょう」


「して、いかがする?」


「魔王様、人間世界には
魔法を使わぬ強力な兵器がございましてな、
それを対髑髏用兵器として使い
髑髏を倒してみせましょう」


「その兵器を奪ったとして、
こちらの者には使いこなせぬのではないか?」


「向こうの兵士ごと、いや軍隊ごと、
いや基地ごと奪ってまいりましょう」


髑髏を倒す計画を魔王に進言する死神導師。


「なるほど、
これであれば、髑髏を倒せるかもしれん」


「これは迎撃戦であり、
ある意味総力戦ともなりましょう」


「導師の計画を承認しよう」


-


死神導師の拠点となる城は
数百メートル級の巨大亀の背中にあり、
移動式要塞でもある。
そのためタケシにもまだ見つかってはいない。


人間世界から強奪した全兵器を
迎撃ポイントに配備し、
死神導師の拠点である移動式要塞を
ポイントまで移動させ、
タケシをおびき出し、
これを集中砲火するというのが、
死神導師の迎撃作戦の概要。


もちろん仕掛けは何重にも施されている。


迎撃ポイントは作戦内容を考慮して、
沿岸地帯が選ばれていた。
周辺には漁村などが多数あるが、
魔王軍からすればそれは全く問題ない。
どうせいずれ滅ぼすのだから、
余計な手間が掛からなくてよいとすら考えている。


そしてタケシもまた
そんなことは一切お構いない。


タケシにしても魔王軍にしても、
この異世界が破壊し尽くされても、滅びても、
彼等からすれば全く問題はない。


この戦いは、善も正義も不在であり、
ただただ破壊あるのみ、そういうものであった。











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