史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・吸血蛭

アンデッド軍団の再生能力を
極限まで遅くすることで戦闘不能にし、
魔王軍幹部・黒将導師との一騎打ちとなった髑髏。


「何なのだ、これは」


ゆっくり動き続けるアンデッド達の肉片、骨片、
その様を見て驚く黒将導師。


「お前は既に究極の魔神になったというのか?」


だがタケシはそんなことには興味はない。


「はんっ、知ったことか」


黒将導師はヒルをモチーフとした
魔神・吸血蛭リーチにその姿を変え、
蛭の口先のような形状をした右手を伸ばし
髑髏の首に巻き付ける。


「血を吸い、敵の能力を吸収するのが、
自分達だけだと思わぬことだな」


黒蛭の右手、その蛭の口先は
髑髏の首筋に貼り付き、その血を吸いはじめる。


しかし、全く動じることのない髑髏、
敵の右手を握り締め、そのまま握り潰す。
そして握りつぶした箇所を
力任せに引っ張り敵の腕を引き千切った。
千切られた腕からは血飛沫が上がる。


「血を吸うつもりが、
噴き出してしまったようだな」


引き千切った腕を投げ捨て、
一瞬で間合いを詰めた髑髏、
その拳が吸血蛭リーチの胴を貫く。


「……ば、馬鹿な、これ程までに、
お前は猛毒の巨大 アリだと、言うのか」


血を流し崩れ落ちる魔神・吸血蛭リーチ


「処刑、完了」


髑髏はその身に浴びた返り血を吸収する。


「これでも、幹部か……
アンデッドの方がマシだったな」


血を吸う蛭をモチーフとした魔神でありながら、
髑髏にその血を吸われるという皮肉な結果に終わる。


-


しばらくしてから、
タケシが魔王軍幹部・黒将導師を倒したことを知る岩槻。


黒将導師は、自分達と人間のことを、
人間と蟻に例え、それ程力の差があると言っていた。
その黒将導師をタケシ一人で倒したことに、
岩槻は衝撃を受ける。


確かに前回戦った時もその強さは感じたが、
そこまでの強さだとは思っていなかった。


それ程までに今のタケシは強いと言うのか。


今の自分にはタケシを倒すことは出来ない。


不本意ではあるが、
やはり最後の勇者になるまで生き残り、
願いを叶え、力を得る、
それしかこの手でタケシを倒す方法はない、
そんな考えが岩槻の脳裏を過る。




そして、魔王軍の幹部である黒将導師にすら
共闘を求め話し合いに出向いた岩槻、
黒将導師を倒したタケシを味方にすれば、
大きな戦力となることはわかっていたが、
それだけはどうしても出来ない。


黒将導師以上に話し合いが通じる相手ではないし、
岩槻の私怨もまた根が深い。


目的を同じにしながらも、
相容れることは出来ないタケシと勇者。


この先、それぞれの存在は乖離していくばかりとなり、
いずれ七人の勇者とタケシは殺し合うことになる。











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