史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

ハチローのお嫁さん

魔王軍幹部の金狼導師、
またの名を魔神・金狼きんろうを葬り去ると
髑髏はまたバイクに乗り、この古城を後にする。
ハチローには目もくれずに。


改造魔神でもなく、
オーバーヒートを起こした機械人形、
タケシはその言葉の通り
ただのガラクタとしか認識していなかった。




窮地を脱したハチローとルル、その無事を喜んだが、
ハチローにはずっと気がかりなことがあった。


「ルル、ナニモサレナカッタカ?」


ルルの生存は確認され、
こうして助け出すことに成功したが、
まだ爆弾を埋め込まれていないかは
確認が出来ていなかった。


胸元のボタンを開けるルル。


「ハチロー、私の胸の中にも
機械が埋め込まれてしまったの」


その胸元には手術の傷痕が生々しく残っている。


「オオオォォォッ」


頭を抱えて叫び、悲しみ嘆くハチロー。


最初にルルを守ってあげられなかったこと、
そして手術までに間に合わなかったこと、
ハチローは何も出来なかった自分を責める。


美しい少女に一生消えぬ傷痕と
それ以上のものを背負わせてしまったことに
ショックを受け、苦悩するハチロー。




だがルルはそんなハチローを逆に慰める。


「これで私もハチローと一緒でしょ?
体に傷があって、体の中にも機械がある、
これで私もハチローの仲間でしょ?」


「いくら人間でも心が醜いのなら、
私は心が清くて優しい
ハチローのお嫁さんがいいわ」


このことがあってから、ルルは自分のことを
『ハチローのお嫁さん』と名乗るようになる。


古城で生き残っている科学者達に、
ルルに埋め込まれた爆弾を
摘出してくれるように頼むハチロー。


しかし、これは単に物理的に埋め込まれただけではなく、
魔道士の呪術的な処置が施されており、
解除出来ないようにプロテクトが掛かっているため、
再手術では取り除くことが出来ないと判明する。


ルルに埋められた爆弾が起爆するきっかけの
目的地が果たして何処なのか、それすらもわからないまま。


その魔道士がどんなプロテクトを掛けたのか、
起爆の目的地を何処に設定したのか、
すべてを知っていたのは幹部の金狼導師だけ。


そしてその金狼導師は
既に髑髏が亡き者にしてしまっていた。


-


帰る村を無くしたルル、
そしてハチローは放浪の旅に出る。


ルルの胸に埋め込まれた
爆弾を取り除く方法を探して。


ルルに埋め込まれた
爆弾の解除方法を見つけるのが先か、
何処かはわからぬが
ルルが目的地に辿り着き爆発するのが先か、
それはまったく先の見えない旅であった。


しかし、ルルはハチローと自由に旅が出来ることを喜んだ。
いろんな国を周り、様々な景色をその目にすることを。




旅立ちの時、ハチローはルルを抱き抱え、
自らの左肩の上に座らせる。
巨漢の広い肩幅の上、そこがルルだけの特等席。


ハチローの左肩の上には、
いつもルルが座っている。











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