史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・蝙蝠(3)

タケシはヴァンパイア伯爵に殴りかかる。 
タケシの拳は伯爵の顔面を狙うが、
これを腕で受け止めるヴァンパイア伯爵。 
そこへタケシの強烈な蹴りが伯爵の腹部を蹴り上げる。 


「お前みたいな奴は顔を必死で庇うだろうかな、
ボディががら空きなんだよ」 


タケシの蹴りが二度三度と伯爵の腹部を蹴り上げる。 
腹部を抑えて前のめりになる伯爵、
そこへタケシの蹴りが今度は顔面に炸裂する。 
後方へ吹き飛ぶヴァンパイア伯爵。


「クッ、よくもよくも、私の美しい顔をっ!!」 


怒りに振るえるヴァンパイア伯爵、
その姿は醜い魔人・蝙蝠バットの姿へと変わって行く。


「お前のような奴の本性が
そんなに醜い改造魔神だとは、とんだ笑い話だな」 


「黙れっ!!黙れっ!!黙れっ!!」


「俺が人間だった頃のその姿は醜かった……
誰もが俺の姿を見て心の中で笑い蔑んでいたんだっ……
もちろん女にだって相手にされることはなかった」 


「だが魔王は俺に美しい人間の姿を与えてくれたのだっ!
そして俺を馬鹿にした女共を
性の奴隷にする力を与えてくれたのだっ」


「お前にこの俺の気持ちがわかるかっ!?」 


タケシは蝙蝠男の熱弁を一蹴する。 


「はんっ、知ったことか」


「俺はただお前達を狩るだけだ」 


「魔人・蝙蝠バット、お前を狩らせてもらう」


その低く力強い声に呼応するかのように、
タケシの肉体も魔人・髑髏スカルに変貌を遂げる。


魔神と化した髑髏に蝙蝠は超音波を発し、これを狙う。 
髑髏はジャンプして教会の屋根を突き破り、
外へ飛び出し、超音波の射程外へと逃げる。


蝙蝠もまた羽を広げ、
髑髏の飛び出した屋根の穴から空へ飛び立つ。
 

空を高速飛行しながら髑髏に襲いかかる蝙蝠。
空を飛び髑髏の右側から
その翼を鋭利な刃物に変えて切りかかる。
これをかわす髑髏。 
その直後今度は髑髏の左側から切りかかる蝙蝠。 
髑髏はこれもかわすが、
蝙蝠は今度は高空より超音波で髑髏を狙う。
髑髏はこの超音波を避けかわし、
超音波はその威力で地面を切り裂いて行く。
 

空からの攻撃を嫌った髑髏は、ジャンプして宙を舞い、
空を飛ぶ蝙蝠男の羽をキックで蹴破る。 
翼を破られ墜落する蝙蝠。
地面に激突の衝撃音が響く。 


立ち上がった蝙蝠、だがその背後には髑髏の姿があった。
蝙蝠を背後から抑えこむ髑髏。 
蝙蝠の右の翼の付け根を握り掴み、
力を込めて引き千切る。 


「うおぉぉぉぉぉっ!!」


激痛に悶絶する蝙蝠。 
引き千切られた箇所からは血飛沫が勢い良く溢れ出し、
髑髏のボディを深紅に染める。 
さらに髑髏は蝙蝠の左の翼をわしづかみにする。 


「髑髏よっ、元から醜い人間はどうしたらいいのだっ!?
俺は改造魔神になって、
美しい人間の姿を手に入れたのだっ! 
それでもお前は改造人間を否定するというのかっ!?」 


「はんっ、知ったことか」 


髑髏はそう言うと蝙蝠のもう一枚の翼を引き千切る。
蝙蝠の悲鳴と飛び出す鮮血。 


「だがお前は改造魔神になった為に、
俺に処刑される、それだけだ」 


髑髏は蝙蝠の顔をわしづかみにし、
渾身の力を込めて握り潰す。 
グシャッという音と共に、
血飛沫が噴き上がり、肉片が飛び散る。 


「処刑 完了」 


蝙蝠の返り血と共に引き千切った羽根を吸収する髑髏。


-


戦いを終えた髑髏の前に立つ裸のルイ。 


「あなたの……
あなたの言っていたことは本当だったのね……
お父様はっ……お父様はっ、……」 


「あなたは、あなたは私を助けてくれたのっ?
お父様を怨んでいるあなたがっ!?」 


「ふざけるなっ、誰があいつの娘なんぞ助けるかっ」


「なんならお前も死ぬかっ?」 


髑髏はそう言うとルイに背を向け、
バイクに跨り走り去る。 
ただ一人残されたルイ、深い夜の闇の中で
その美しい白い裸体だけが浮かび上がっていた。




数日後の夜、ルイは塔の屋上から飛び降り自殺を図る。 
道に倒れ頭から血を流して絶命しているルイ。 
そのルイの亡骸を前に、バイクのエンジン音が響き渡り、ライトがルイの骸を照らし出す。 
バイクに跨りながらルイの亡骸を見つめるタケシ。 


「せっかく命拾いしたのに、馬鹿な女だっ」 


タケシはそう言い残すと、エンジンを吹かし走り出し、 
夜の深い深い闇の中へと再び消えて行くのであった。 











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