史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・鉄蠍(3)

酒場のカウンターに立ち酒をあおっているモヒカンの男。 
二メートル以上の背丈がある巨漢で褐色の肌をしている。


外で暴れていた男は店に入ると、
カウンターにゆっくりと近づく。


「テキーラだっ」 


店のマスターにそう告げ、
出されたテキーラを一気に飲み干す。 


モヒカンの男は一瞥する。


「例の裏切り者か、タケシだったか? 俺に何か用かい?」 


「はんっ、お前を狩りに来た、それだけだ」


モヒカンの男をギラギラした目で睨みつけるタケシ。 


モヒカンの男は笑いを押し殺しながら言う。


「そうかい、俺を殺りに来たって言うのかい」 


「なぁ兄弟よ、
ここはひとつ余興でもしようじゃないか、
この街に相応しい余興をよ。 
背を向けて、三歩進んで振り返る、
早撃ちってのはどうだい?」


モヒカンの男はまだ笑っていた。


「ゲームか? くだらんなっ」


「まぁいい、少しは遊んでやろう」 


荒野の街に男二人の決闘がはじまる。 




銃を手に持ち、背を向け合って立つモヒカンの男とタケシ。 


「じゃぁ、そろそろはじめるぜ、兄弟よ」 


「お前らに兄弟呼ばわりされると虫唾が走る、
その口を黙らせてやる」


吹きすさぶ風に砂塵が舞う。 


モヒカンの男は大声叫ぶっ


「イチッ!!」 


両者はそこで振り向きざま銃口を相手に向ける。 


「おいおい、いくらお前が裏切り者でも、
ルール違反は勘弁してくれよ、兄弟」 


「お互い様だろ、
それに魔神にルールはいらない、違うか?」 


「ふはははっ」


モヒカンの男は豪快に笑う。  


次の瞬間、タケシに向けて銃をいきなり発砲する。
だがタケシもまた
これを予測していたかのように転がりながらかわす。 




タケシを狙って銃を乱射するモヒカンの男。
その弾切れを見計らってタケシはバイクに飛び乗る。 


モヒカンの男が銃に弾を詰め直すその瞬間、
男の首に投げ縄が飛んで来て絡まり、
その首を締め上げる。
男の首に縄をかけたまま、
バイクを走らせ引きずり回すタケシ。


男は首を締めつける縄を両手で抑えるが、
苦しみに耐えられなくなりその本性を現す。 
魔神・鉄蠍スコーピオの姿を。 


タケシもまた魔神・髑髏スカルに姿を変える。


鉄蠍をバイクで引きずるタケシ。


鉄蠍の首を締める縄を手にし、
バイクの上から大きくジャンプして宙を舞う。 
髑髏は大木たいぼくの上を飛び越え、
その大木に鉄蠍を吊るし上げる。 
鉄蠍は縄を切ろうと必死になっていたが、
その縄は決して切れない。
その縄は魔神・蜘蛛スパイダーの能力を取り込んだ
髑髏が超硬質化させた蜘蛛の糸でつくられていた。




吊るされた鉄蠍の前に立つタケシ


鉄蠍スコーピオ、お前を狩らせてもらう」 


吊るされ身動きの取れない鉄蠍を
髑髏は容赦なく殴打する。


まるでサンドバックの如くひたすら殴られ続ける鉄蠍。
 

髑髏もまるで何かに執りつかれているかのように
夢中になって殴り続ける。


「さすが鉄の蠍というだけあって硬いな」


やがてぐったりとして動かなくなる鉄蠍スコーピオ。 


「処刑、完了」


「ハングドマン、吊られた男、お前に相応しい最後だ」 


タケシはそう言い残しその場を立ち去る。 




砂漠の蠍がいなくなった街では、
先程の女が再び襲われている。 


砂漠の蠍に怯えずっと逃げ隠れしていた街の男共が、
女の連れが死んで、砂漠の蠍が全滅したのをいい事に、
まるでハイエナのように女を襲ったのだ。


泣き叫び助けを求める女。 
女に覆い被さる男共。


だがその男共もまた足蹴にされる。


戦いを終えたタケシが街に戻って来たのだ。 


「邪魔だっ」


バイクに乗り男共を蹴散らすタケシ。 


「……あ、あの、度々ありがとうございます……」


女はおそるおそる怯えながら再び礼を言う。 


「うるさいっ、お前も殺すぞっ」 


タケシは女にそう言い放って、
バイクでその場を後にする。 











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