史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・女王蜂(1)

「みなさま、
ようこそ私のパーティーに
お集まりくださいました」 


古い洋館、吹き抜けの二階より降りてくるナイトドレスの女。
青いサングラスをかけ、
ブロンドヘアの端正な顔立ちの美女は、 
口元に妖しい笑みを浮かべながら、そう挨拶した。 


洋館のフロアに集まっている数十人の男女。
みな正装し、顔を仮面で覆い隠している。 


ここには貴族をはじめ、政界の大物や財界人、
軍幹部など要人も多数出席しており、 
みな素顔・素性を秘密にしなければならない為、
仮面を着けている。
ここを知る関係者の間では
諸国の王もお忍びで来ていると噂されていた。


照明を抑えた薄暗いフロアは香の薫りに満ち、
扇情的な音楽が奏でられ続ける。 
そこは非日常の要素に溢れ、
妖しげな魅力を放つ幻想的な世界。 


「今日は日頃の俗世を忘れ、
存分にこの魅惑的な空間をお楽しみください」 


集まった紳士淑女達に女はその美しい笑顔で呼びかけた。 
その女の甘美なる誘いは人々の心をときめかせる。 
決して触れてはならない非日常の世界への鍵を手渡された、
そんな幻想を抱かせる。 
そして女は妖艶なる美しさを醸し出しながら、
フロア正面に位置する主催席に腰を降ろす。 


招待客である紳士淑女達は、
従者が運んで来た酒を手に取り、
パーティーははじまる。 
思い思いに談笑する紳士淑女達。
紳士はタキシードや礼服に身を包み、
淑女は華やかな衣装で美を競う。 


主催者の女はその艶やかな唇でカクテルを口にする。 
スラリと伸びたしなやかな美脚を組み、
カクテルグラスを片手にシガレットをくゆらす。 
そして女は集まった人々の談笑を
笑顔を浮かべみつめている。 


だが時間の経過と共に、
フロアに集まる紳士淑女達の様子が一変する。 
人々の目は一様に精彩を欠き、
思考能力を失い、理性を失い、自我を失い、
ただの動物としての人間に成り下がる。


香の中に含まれたドラッグの成分、
精神に作用する音楽、
極度に強くドラッグの成分を含んだアルコール、
それらが招待客達の正常な思考と精神を奪っていく。
 

こうなると動物としての人間が取る行動はただひとつ。 
己を失った人々はみな自ら進んで裸になり、
酒池肉林の宴がはじまる。 
一糸まとわぬ姿で淫らな行為に興じ、
深ける数十人の男女。 
羞恥心を失い、
人間であることを止めた動物達が痴態を繰り広げる。 
その光景を高笑いを上げながら見ている主催者の女。 


「人間であるということは愚かなことね。 
そう、今はただ本能と快楽にのみ従い、
この刹那を楽しむといいわ。 
自我を失い、人間であること止めたお前達は、
この先私が下僕としてたっぷり可愛がってあげるわ」 


女はそう言うと再び高笑いを上げる。











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