史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・蜘蛛

タケシはルイに向かって言う。 


「いいかよく聞け。
お前の親父はこいつらのような
醜い化け物をつくっていた」 


「・・・・・嘘っ!!嘘よっ!!」


裸体のルイはもはや極限状態であった。 


「そしてお前の親父は俺もこいつらと同じ
醜い化け物に改造しやがった」 


タケシが身構えると、先程同様に
タケシの肉体は銀色の髑髏姿へと変わって行く。


タケシの変貌して行く姿を見ながらルイは絶叫する。 


「嘘っ!!嘘よっ!!」


「嘘だったら俺もどんなにありがたいことか」 


-


数本の腕を持つ魔神・蜘蛛スパイダー
口から糸を吐きながら、髑髏スカルに襲い掛かる。 
髑髏はチョップで糸を切り裂きながら前進、
蜘蛛スパイダーとの間合いを詰める。
 

従来の改造魔神とは格段にその能力が違う髑髏、 
蜘蛛スパイダーの糸はもはや
その動きを止めることすら出来なかった。
 

敵の背後を取った髑髏は、
そのまま蜘蛛スパイダーを押さえ込み、
その腕の一本を握り掴む。 


「貴様らへの怒りと憎しみ」


そう言うと髑髏は
掴んだ蜘蛛スパイダーの腕を引き千切る。 
激痛に悲鳴を上げる蜘蛛スパイダー
腕からは血飛沫が飛び散る。 


「お前らの悲鳴」


髑髏は蜘蛛スパイダーの腕をもう一本引き千切る。 
うめきながら悲鳴を上げる蜘蛛スパイダー


「お前らの苦痛」


蜘蛛スパイダーの腕がもう一本引き千切られる。 


「お前らの死」


さらにもう一本の腕が引き千切られる。 


「それが俺の望むもの」


そしてもう一本の腕が。 


「俺は、お前らの存在を、許さない」


髑髏は蜘蛛スパイダーのすべての腕を引き千切った。 


そして首に腕を回し、羽交い絞めにする。 


「お前を処刑する」 


髑髏は蜘蛛スパイダーの首に回した腕に力を込め、
今度はその首を引き千切る。
 

蜘蛛スパイダーの断末魔と共に、
血飛沫が辺り一面を血の海に変える。 


血塗れになった髑髏は蜘蛛スパイダーの首を手にし、
渾身の力を込めて握り潰す。
 

グシャッという音と共に、
血飛沫が噴き上がり、肉片が飛び散る。 


全身を真っ赤な血に染めた髑髏。 


「処刑、完了」 


髑髏はその身に浴びた返り血を
鎧のような皮膚から吸収しはじめる。
そうすることで敵の強さを取り込み、
真の究極魔神へと近づく。
それが博士が残した究極魔神覚醒への最期の仕掛け。


-


人間の姿に戻ったタケシは、
研究室を後にしようといしていた。 


あまりの出来事に極限状態を通り越し、
放心状態だったルイ。 


人間であるタケシの姿を見て、我に帰ったルイは叫ぶ。
 

「あなたの言う事なんて嘘よっ!!
全部出たらめよっ!!」 


「人殺しっ!!お父様を殺した、人殺しっ!!」 


タケシは後ろを振り返ることなく言う。 


「そう呼ばれるのは慣れている、いつものことだ」 


ルイを残して研究室を後にするタケシ。 
外に止めてあったマシンに跨り、走り出すタケシは
そのまま夜の深い深い闇の中へと消えて行く。











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