非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

辿り着いた先

次に気がついた時には、
僕は白っぽい部屋のベッドの上だった。


ベッドの横には、
マトが寝かされている。


離れたところで見慣れない服を着た
男の人達が話をしていた。


ここが黄金の国・ジパングなのだろうか。


後で聞いた話だと
僕達二人はゲートの前で倒れていたらしい。


防衛軍の人が見回りの際に僕達を発見して
病院まで運んでくれたようだ。


最近は僕達のように
あそこのゲートからやって来る
難民が多いらしい。


僕のように噂を信じて
やって来る人が多いのだろう。


僕達はしばらく点滴で過ごし、
その後はじめてこの世界の食事を取った。


故郷でも残飯しか食べていなかった僕達は、
この世界の何を食べても
物凄く美味しく思えた。


「兄ちゃん、すげえ美味しいな。
さすがジパングだな。」


「ああ、だから言ったろ、
ジパングはすげえって。」


この後以降、
僕達が飢えてお腹を空かすことは
二度となかった。


-


それから僕達は病院で
日本語を理解して
話せるようになる処置を受ける。


何日かして病院を退院すると、
そのままムショと呼ばれる
防衛軍の施設に連れて行かれることになった。


移動の車で見たこの世界の街は
見たこともないような綺麗なもの。


僕が知っていたのは
戦争の後で壊れた街だけだから、
余計にそう見えたのかもしれない。


「しかしこの世界もまた
戦争が起こりそうでね」


防衛軍の人達は
車を運転しながらそう言っていた。


せっかくジパングに来たのに
また戦争に巻き込まれるのかと
僕は少し不安になる。




ムショに到着すると、僕達の他にも
異世界から来た難民孤児が十人いた。
半魚人に人魚、エルフ、竜人、鳥人、獣人など。


「お前ら魔族だな?」


僕等を見たエルフが聞いて来る。


話を聞くと僕達とは違う異世界から来た
エルフのようだ。


みんな僕達と同じ処置を受けたのか
日本語が理解出来、話せるようだ。


僕達が連れて行かれたところには
女の人達がいっぱい居た。


その真ん中に居た女の人が
一歩前に出て来る。


その女の人は光輝いているように見えた。


まるで天女様か女神様が
地上に降りて来たみたいだ。


美しい天女様は笑顔で話しはじめた。


「みんな、よく来てくれたね。」


「ここにいる女衆全員が、
今日からみんなのおっかさんだよ。」


「あたしのことは
彩おっかさんと呼んでおくれよ。」


天女様はそう言うと、しゃがみ込んで、
僕達一人一人を抱きしめはじめた。


僕は緊張で胸がドキドキして張り裂けそう。


天女様、いや彩おっかさんは、
とっても柔らかくて、
温かくて、いい匂いがした。











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