非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

淫パライダー



その後、インパライダーには
専用のプロテクターやら
装備が一式支給された。


現場までの移動手段として、
専用バイクも用意された。


バイクについては、
インパラがバイクに乗っているという
シュールな絵面になってしまっていたが。


「銃器は持たさないのか?
異世界人相手だろ。」


石動の問いに
一条女史はバツ悪そうに返事をした。


「一応考えてはいるんだけどねー、
あんまり市街地で
発砲して欲しくないんだよねー、
一応法治国家だからねー日本はー」


「君達、異世界人摑まえる時、
普通に発砲してくれるけど、
結構大変なんだよねーこっちはー」


「出来れば肉弾戦で
勝負して欲しいところだよねー」




実戦投入されたインパライダーは、
次々と成果を挙げて行った。


不審な異世界人反応がキャッチされると、
インパライダーは人間態で
マシンに乗り現場へ急行。


現場で戦闘になると、
変身してインパラ形態で交戦、
不審異世界人を捕縛した。


状況によっては
そのまま殺害することも許可されていた。




そこで捕まった異世界人は
防衛軍に連行され、尋問される。


尋問で供述される内容は、
従来ルートで入手出来る情報と
異なる系統のものが多く、
異世界と異世界人の
新たな情報を入手するための
有効な手段となりつつあった。


現在、
通称ムショと呼ばれる防衛軍施設内には、
異世界人テロリストや犯罪者を投獄するための
本物の刑務所が増設され、
『ムショ中のムショ』
という訳の分からない呼ばれ方をしていた。


敵との戦いに連戦連勝で結果を残せば、
増長しはじめるというのが
正義のヒーローのテンプレートではあるが、
インパライダーもまた例外ではなかった。


そもそも普通のブサイクが、
女にモテたい一心で、
改造人間にまでなって
イケメンの容姿を手に入れたのだ。


その上人気ナンバーワンの
イケメン俳優に匹敵する顔。
当然女にモテモテだったし、
女遊びも激しかった。


パトロールと称して、
街行く女子を口説き、
ラブホに連れて行くのが日常。


事件発生時は
真面目に任務をこなしていたので、
大目には見られていたが。


情事の最中に不審異世界人の通報を受け、
ラブホから現地に向かうという、
洋画のアクションものなどで
よく見られるシーンも、
しょっちゅうであった。


「わりわり、仕事の連絡入ったから」


「ちょっとまだ途中じゃない!」


「また今度連絡するから」


「あなた何の仕事してるのよ」


「うーん、正義の味方?」


「馬鹿じゃないの!もう知らない!」


こんなお約束が恥ずかし気もなく繰り返された。
今の仕事をしっかりやらないと、
自分が手に入れたものが
失われるかもしれない、
という自覚だけはあるようだった。


モテない時期が長過ぎた反動であろうと、
みんな大目に見ていたが、
インパライダーの傲慢で
強欲な色欲はとどまることを知らず、
肥大化して行った。


夜の淫らなパーティーや
サークル活動にも精を出すようになり、
昼夜を問わず女遊びに
全力を尽くすインパライダー人間態。


まるで中毒者や依存症患者のようになっていた。


防衛軍のムショ内でも、
インパライダーは『淫パライダー』で、
『淫らなパーティーの夜のライダー』
なのではないかと噂されるぐらいであった。


また、インパライダーの脚力を活かした
夜の技がすごいらしいとも噂されたが、
夜の営みにどのように
脚力が活かされたのかは定かではない。











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