非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

インパライダー

「君を生まれ変わらせてあげるよー」


改造手術の間、
一条女子は目を輝かせて呟いていた。


「私が君を生まれ変わらせてあげるよー
ついでにイケメンにもしといてあげるよー」


ちなみに手術自体は
専門の医療スタッフが行い、
一条女史は脇で見ていただけであった。




改造手術は無事成功し、
遂に一条女史は念願の夢を叶えることになる。


「これが俺っすか?」


改造手術を受けた元ブサイク男性も、
念願の夢を叶えることが出来た。


「君が思うイケメンが
どんなかわからなかったからー
まぁどうせ女にモテればいいんだろうと思ってー
今女性に人気ナンバーワンの
イケメン俳優みたいな顔にしておいたよー」


元ブサイクもイケメンに生まれ変わって、
本当に嬉しそうにしている。


「ありがとうございます!
俺本当に生まれ変わったんすね」


「まぁすぐにでも
ナンパにでも行きたいところだとは思うけどー
ちゃんと改造人間ヒーローとしての
お仕事はしてもらうからねー」


「じゃあ早速実戦練習で試しみようかー」


「相手どうするんですか?」


「目の前にいるじゃないー、
脳筋ゴリラ怪人がー」


付き添いに来ていた石動は
きょとんとした顔をしていた。


-


「おいおい、何でよりによって
こんな狭いところやるんだよ」


ウォーミングアップしながら石動は問うた。


「インパライダーは
市街地で戦うんだからさー
壁とかあるところじゃないと
実戦ぽくならないだろー」


研究班のデータ収集担当が
数人機材を調整している。


たまに忘れそうになるが、
こう見えても一条女史は幹部クラスである。




模擬戦がはじまると、
元ブサメンは変身して
インパライダーに姿を変えた。


頭部に角が生え、体毛で覆われ、
姿形は人間型のインパラといった見た目。
まだ正義のヒーローというよりは
インパラ怪人に見える。


「やっぱ変身ポーズは
何かカッコいいの考えないとねー」


「カッコいい装備も必要かなー」


一条女史の発言をメモするデータ収集班。
若干気の毒な気がする。




「お前、俺が死なない程度には加減しろよ。
こちとら改造人間相手にするのは
はじめてなんだからな。」


石動は珍しく相手に手加減を要求する。
相手は既に普通の人間ではないのだから
仕方がない。


相変わらずパワー重視で
拳を振り回す石動に、
インパライダーはその俊敏性を活かして、
石動の周囲を飛び回る。


壁を蹴り、そのまま反対側の壁に飛び移り、
また壁を蹴る。


「早いなこいつは」


「捕まえられればまだなんとかなるんだが」


インパライダーは天井と地面も使い、
石動の周囲を飛び回り翻弄する。


元ブサメン、戦闘部隊の中でも
かなり優秀だったようで、
すぐに人間の力を超えた能力を
使いこなしはじめる。


最後は壁を蹴った反動を利用して、
石動の背後から飛び蹴りを入れる。


地面を二、三回転げ回って吹っ飛ぶ石動。


「痛てて」


「おいおい、正義の味方が
背後からの飛び蹴りかよ」


「すいません、正面から行くと、
石動さんのパンチに当たりそうだったんで」


インパライダーは頭を掻きながら謝った。


「まぁいいじゃないかー、
インパライダーの戦い方の特徴が
見えて来たよー、空中殺法って感じかなー」


「まさか自分が
石動さんに勝てる日が来るとは
思ってなかったっす」


その後、石動との力比べやら、
鋼鉄をキックやパンチで破壊するやらの
能力テストが行われた。


インパラのパワー不足を考えて、
俊敏性とのバランスを崩さないように、
パワーも強化されていたため、
パワーもそこそこの威力であった。


特に脚力がもともと強いこともあり、
空中殺法からのインパライダー・反転キックは
必殺技レベルの威力があった。













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