非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

スーパーロボット像

天野は先駆けて、
スーパーロボット像が並ぶ、
敵の目的地に来ていた。


空の下に立ち尽くす十体のロボット像。


大型兵器開発・運用を担う
『チーム邪道』のメンバー達が、
最後の調整を行っていた。


チームリーダーの北條が
天野を見つけ歩み寄ってくる。


「すまないね、天野くん。
今回使える高次元エネルギーは微々たるものでね。
これでも博士に協力してもらって
やっとこれだけ使えるようにしてもらったんだ。」


天野は北條に言葉を返す。


「こちらこそすいません、無理言って。
奴らにとって、
ここはシンボリックなところですからね。
大型生物を使ってロボット像群をなぎ倒す
派手な絵面を狙ってくるでしょう。
他の異世界に自分達の力を見せしめるために。
そこを一網打尽にしたいところですね。
せめて巨大生物だけでもここで撃ち取れば、
後はなんとか。」


「最終調整が終わったら、
みなさんはムショに戻ってください。
後は我々でなんとかしますので。」


北條は頭を掻きながら苦笑する。


「ではそうさせてもらうよ。
お恥ずかしなが血生臭いのはどうにも苦手でね。
我々のつくる物が一番多くの血を
流させるというのにね。」


「みなさん技術者ですからね」


-


敵の軍勢は、いよいよ
スーパーロボット像群に迫ってきていた。 


応戦する防衛軍地上部隊。


敵も長年の悲願を目前にして、
血眼になって来ている。


天野の指示により
スーパーロボット像群には
フィールドバリアが張られる。


このフィールドバリアも高次元エネルギーを
防衛利用として転用したものだ。


当然ロボット像群を
死守することが目的ではない。


敵の大軍勢を出来るだけ引き付けて、
一網打尽にすること。


特に、まともに戦えば
相当な犠牲が予想される大型生物は
ここで何とかしておきたかった。


応戦部隊は攻撃しながらも
徐々にフィールドバリアの左右後方に下がって行く。


ここでの敵の目的は
あくまでロボット像の破壊であり、
人間は二の次だ。


半魚人部隊の銃による攻撃は、
フィールドバリアによって阻まれていく。


天野の思惑通り、
巨大カニ、巨大イカ・タコがその巨体で、
ロボット像群に向かって進んで来ていた。


巨大イカ・タコはやはり陸上での移動には
時間がかかるようであった。


やがてスーパーロボットのレセプションが行われた
会場敷地が、敵の軍勢に埋め尽くされる。




すでにその場から後退していた天野は指示を出す。


「総員ロボット像周辺から極力離れろ!」


巨大イカ・タコがその触手で
ロボット像に絡みつこうとするが、
フィールドバリアによって阻まれる。


高次元エネルギーで形成されている
フィールドであるために、
その触手は触れた瞬間消失してしまう。


巨大カニも同様にその巨大なハサミを
消失されてしっまっていた。




総員のロボット像周辺からの撤退を確認した天野。


『そろそろ頃合いか』


仕掛けられていた装置のスイッチを押す。


フィールドバリアを形成していた
高次元エネルギーが、
フィールドバリアの形成を止め、
ロボット像群の中に隠されていた
エネルギー炉へと流れ、
起爆装置により大爆発を引き起こす。


周囲は閃光に包まれ、
かなり後方にまで下がっていた天野達にも
閃光が眩しかった。


その場にいた数万近い
敵の大軍は一瞬にして消失。
地表もかなり深く抉られて大穴を空けていた。




「これで本当に微々たる量なんだから、
まいったもんだね」


天野はその威力を目の当たりにして、
知らないうちに独り言を発していた。


未確認飛行物体を撃墜した際に、
上空に撃たずに、地球に向けて撃っていれば、
地球に穴を空けて貫通していた
と言われているほどである。


人類の手に負えるものであるのか、
天野は危惧せずにはいられなかった。


後にこの映像は異世界で、
敵の大軍勢を前に、
敵もろとも自爆する名作アニメの
名シーンを彷彿とさせると、
大反響を呼んだそうだが、
どこでどうやって撮影されていたかは
今もって不明である。











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