【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

勇者と転移の女神

勇者は転移の女神を問い詰める。


あの世界で元人間が
魔族になったのは誰のせいなのか、
何故自分に教えず利用したのかなどを。


「で、結局お前のせいなのか?
人間が魔族化した原因の治療薬を
間違えて渡したのは?」


「あたしが全部悪い訳じゃないわ、
まぁあたしのせいも
少なからずはあるだろうけど」


「何故、俺に黙っていた?
黙って俺を利用した?」


「せっかくあいつ等の
記憶も改竄したって言うのに
あんたにそんな余計なこと
教える訳ないでしょ、
何処かで喋られたら
今迄の苦労が水の泡じゃないの」


転移の女神が
主犯格であることは間違いなく、
しかも開き直っているあたりが
更に性質たちが悪い。




「何? あんた
もしかして気に入らないの?
不満があるとでも言うの?」


不服そうな勇者に
逆ギレしはじめる転移の女神。


「あんた、もしかして
あたしをる気なの?」


転移の女神は
勇者の只ならぬ気配に
身の危険を感じる。


「あんたなんかが
あたしを殺せる訳がないんだからね、
あたしは女神なんだから」


「まぁ、そうだろな」


「転移消失を使っても無駄よ、
あたしは転移の女神なんだから、
すぐに転移して戻って来るわ」


「それも、そうだろな」


「じゃあ、
お前の信徒達を一人残らず
皆殺しにするってのはどうかな?


信徒が一人もいなくなって、
お前は存在していられるのか?


あの世界で
あれだけの大量虐殺をしたこの俺が
本当にやらないとお前は
そう言い切れるのか?」


勇者は女神すら脅してみせる。


「ちょっとあんた、
卑怯じゃないのよっ!」


「それももう
聞き飽きる程、聞いて来たな」


話しにムキになっている隙に
勇者は女神に能力を掛けた。


今回に限っては、
信徒皆殺しの話は
女神の隙をつくるための勇者のブラフ、
まぁこの勇者であれば実際にやっても
おかしくはないのだが、
この女神を信仰する総本山が
どこの異世界にあるのかさえ
勇者は知らない。




「ちょっ、何すんのよ!?」


転移の女神は
異変に気付くが、
時既に遅かった。


転移の女神の体は
勇者の分割能力によって、
頭、右手、左手、右足、左足、
上半身、下半身の七つに
ポリゴン風に分割され
切り離されている。


「やめてっ! やめてよっ!」


そしてその後ろには
七つのゲートが開かれおり、
女神の体のパーツがそれぞれ、
バラバラのゲートに
吸い込まれて行く。


「時空転移消失は、
どこの異世界のどの時代に
飛ばされるかはわからない」


転移の女神、
残るパーツは頭のみ。


「まぁせいぜい自分の体、
七つのパーツを
あっちこち探し回ってくれ」


「お前ら、七つの大罪とか、
七って数字好きだろ?」


それはおそらく違う神の話なのだが。


最後に残ったパーツ、女神の頭は
ゲートの中へと消えて行った。


「まぁ、
頭だけで動けるのかどうかは
知らないがな」


殺せないと言うのなら
殺さないで何処かに捨てる、
すぐに戻って来ると言うのなら
すぐに戻って来られないようにして
何処かに捨てる、
勇者にとっては
それだけのことに過ぎない。


これで少しは勇者の
腹の虫もおさまったのであろうか。


おそらく他にも共謀者が
いたのであろうが、
さすがに今回そこまではわからない、
これで落とし前を付けた
という事にするしかない。


-


しかし勇者
その後に重大な事に気付く。


「あれ? これ俺、
ここから出られなくね?」


ここ転移の間から転移しようと
何度も自分に転移技を掛けるのだが、
転移する気配が全くない。


ここでは自分で自分を
転移させることが出来ないのか。




しばらくすると
次の転移予定者がやって来たので、
試しに転移をさせてみると
やはりそれは成功した。


焦る勇者だったが、
それを見た転移予定者達が
いつの間にか行列をつくって
並んで待ちはじめる。


仕方がないので、
その人達を何処かの異世界に
次々と転移させて行く勇者。


「条件?
チートスキル付けろだっ?
場所選ばせろだっ?
武器付けろだっ?


ふざけんなっ!
何処に行くかは知らんっ!
行った先で自分で何とかしろっ!」


自分の時のことは棚に上げ、
贅沢を言う転移者を
怒鳴り叱り付ける勇者。


勇者は転移の女神の代わりに、
ここで転移させる役を
やる事になってしまった。


勇者がここから出られるのは
いつの日のことだろうか。











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