【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

流星乱舞

勇者達が居るのは
東と西を分かつ境界線、
その東側の山脈側面に並び立つ
ビル群の屋上。


まだ核が落ちた地点からは
五十キロメートル以上は離れており、
ここまではその影響は及んでいない。


数十万のクローン部隊が
山で待機をしているが、
その者達に大神官フロリアと
そのクローン達から
放射能から身を守るための
プロテクト魔法が掛けられる。


これからクローン部隊は
黒い雨の中へと
突撃して行かねばならない。


ここからでは遠すぎて
魔法が届かないため、
イヴァンのクローン達にも
最前線付近まで
近寄ってもらうことになるのだが、
彼女達は自らのシールド魔法で
放射能から身を守るようだ。


-


黒い空の下、
黒い雨が降る中で
本格的な戦いがはじまる。


イヴァンのクローン達から
爆裂魔法エクスプロージョンが
次々と打ち込まれ、
数キロメートル四方を
次々と爆散させて行く。


大量の魔族たちが
続々と蹴散らされていくが
その数は一向に減らない、
というよりは
後続が押し寄せて来るため
減っているように見えない。


さらに煉獄の炎、インフェルノが
天にも届く巨大な火柱となり
敵を焼き尽くす。


それから一転して
氷魔法のブリザード、
ダイヤモンドダストで
一部戦場の気温は
一気に氷点下となる。


『熱かったり寒かったり、
大変だなこれ』


勇者は他人事のような
感想を漏らす。


-


空から侵攻して来る敵には
ドラゴンの群れが迎撃に当たる。


以前勇者の策略により
魔王軍とドラゴン達は
交戦していた経緯があり
遺恨が残る対戦であった。


ブレスを放ち、
背中の羽根を羽ばたかせ
強風を起こし、
その巨体を活かした体当たりで
敵を吹き飛ばす。


『あの、不死身の巨大ドラゴン、
もったいなかったなぁ』


確かに不死身のドラゴンが入れば
かなりの戦力となっていただろう。


-


聖女フロリアのクローン達は
アンデッドを優先的に撃破して行く。


ただでさえ見た目が禍々しい
ゾンビをはじめとするアンデッド達が
放射能を撒き散らしながら徘徊する
最悪な毒々しいモンスターへと
変貌を遂げてしまっている。


フロリアのクローンが放つ聖なる光が
彼等に一筋の救いの光をもたらし、
不浄な肉体を持つ魂を浄化して行く。


『いやマジ、俺の神聖魔法じゃ、
こうはいかねえわ』


-


「向こうの地形ごと
壊す気でやっていいぞ」


ビルの屋上から千里眼で
戦局を見つめている勇者。


「かしこまりました」


横に居るイヴァン本体が
勇者の指示に頷いた。




空を覆う雲を次々と割り
空から飛来する隕石の数々。


流星群、メテオ・ストライク。


そこにはさらに
速度アップ魔法が掛けられており、
物理効果は何倍にもなっている。


『あっ、これ、
転移強奪で俺も出来るかも』


勇者はイヴァンと一緒に、
転移強奪で空から隕石群を
高速で降らせる。


イヴァンと勇者の合体技、
名付けるならば『流星乱舞』。


数十を超える隕石が降り注ぎ
地表を深く抉り突き刺さる。




黒い雨はいつの間にか止んでいたが、
大気中には核の灰と
砂埃と土埃、塵、芥が舞い続けており、
視界が濁って見える。


『やべぇ、これ、隕石が原因で
恐竜って滅んだんだっけか』


恐竜の絶滅原因については
今は諸説ある。


そうは言いつつも、転移強奪で
そこに大量のミサイルを撃ち込み
粉塵爆発を誘発させる勇者。




地形を変え、大気を汚し、
この世界を破壊する勢いで
両軍の戦いはなお続いて行く。











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