【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

衣食住とインフラ

無事フィーア派達を
東側の大陸まで運んだ勇者達。


最近東側の人口が
急激に増えたばかりなのに、
さらに数万の者達が
移民して来た訳であるから、
今後様々な問題が
発生するであろうと予想される。


問題を減らしておくためにも
ここできちんと様々なことを
整備しておかなくてはならない。




やはりまずは
食糧の問題が優先される。


現在は転移強奪で
東側に居る人間すべての
食糧を賄っているが、
いつまでも食糧を
転移強奪で供給し続ける
という訳にはいかない、
そろそろ自給自足の生活へと
移行していかなければならない。


当初勇者は痩せた土地でも
比較的育てやすいさつま芋を
普及させることも考えていたが、
それでは時間が掛かり過ぎるため
土壌ごと農地や農園を
移転させて来ることにする。


移転と言っても例によって
転移強奪ではあるのだが。


そこで今後何が
この世界の主食となるかと考えると
やはり小麦ということになる。


米は水耕栽培であり
この地で今導入するにはまだ難しい。


勇者はクローン部隊を使って
この世界の平野や荒野を次々と
農地や農園に置き換えて行く。


-


衣服に関しても、
これまではファッションセンターや
アパレルショップを
店舗レベルで強奪して来ていた。


従来の異世界ファッションの人と
人間世界のファッションの人が入り混じって、
どっちがコスプレなのか
よくわからない状態だったりもする。


これもこちらの世界で
服を生産できるように
洋裁店やら工場を転移させ、
原材料である綿や絹なども
現地生産できるよう
シフトしはじめている。


衣服に関してはこの世界に
石油が無いのが地味に痛い。


-


住居に関しても
転移強奪ですべて用意したが、
建設会社のビル内に
家のカタログがあったために
人々はそれを見て
自分好みの家を
クローン勇者に発注。


当然 無料ただ
好きな家を建てられるのに
わざわざ質素な家を
注文する人がいる訳はなく、
いつの間にか
やたら豪華な住宅が立ち並ぶ
高級住宅街が出来上がっていた。


-


「やはり原子炉はさすがに
我々が扱うのは無理ですから……
石油や石炭もないようですし……


ここは風力発電ではないですかね、
ここでも風だけは同じように
吹いてますから」


インフラを整備するに当たっては、
斎藤さんをはじめとする
新規移転組の人々から
積極的に意見を聞き取り入れる。


そのお陰もあってか、
インフラに関しては
ある意味で人間世界のオリジナルを
越えるシステムをつくり出していた。


『ワイヤレスインフラ・ライフライン』


転移システムを移送手段とするため、
線や管と言った
一番敷設に手間が掛かるものが
一切使われていない。


例えば、電力であれば
風力で発生した電力を
一度蓄電器に貯め、
勇者のコピーを生体装置とした
生体送電器から、
転移能力を使って
居住区に設置されている
生体分電器に送り、
さらにそこから各家庭へと配電させる。


水や可燃性ガスも同様に
勇者のコピーを生体装置として
転移能力を使い各家庭へと供給される。


生体装置と言うと気味が悪いが
魂もない、自我も意志もない
ただの操り人形なので
そこまで嫌悪されるような
ものでもなかった。




こうしてインフラが整備され
新たに転移して来た人々にとっては、
これまでと同じように
電気ガス水道が使えることになる。


新しくこの世界に
移民(拉致)して来た人間達は
勇者と共にあっという間に
この世界をつくり変えて行く、
これまでの自分達の生活と
変わり映えがしないように。


それは、この異世界に
人間世界の文明や文化を
完全に移植しようとする行為であり、
文化的侵略、いやこの場合
文明的侵略になるのだろうか、
この異世界はやはり
蹂躙されてしまっていた。











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