【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

人工の天然要害

大陸を縦断する溝が
かなり深くなった頃から、
そこに薄っすらと水が
流れはじめる。


ここまで来れば後もう少し。


後はひたすら転移消滅で
溝を深くして行くだけである。


勇者とクローン部隊は、
空から転移消滅で
土や砂を消し、掘り進んで行く。


まさか勇者も自分自身の必殺技を
スコップやパワーショベルの代わりに
使う日が来るとは思ってもいなかった。


そして、
溝が水で浸されるようになると
大陸の真ん中を流れる
川らしきものが出来上がる。


もちろん水面下では地続きであるが、
そこまでがっつり地盤を真っ二つにつすると
それこそ地殻変動が起きるかもしれない。


これでようやく勇者の土木工事、
いや泥遊びもここで終わりかと思われた。


-


しかし、勇者の思惑は
ここで終わりではない。


勇者の計画にはまだ先があった。


数千のクローン部隊が空を飛び、
全員で巨大な円状、輪を形づくって行き、
そのフォーメーションが完成すると、
転移強奪能力を発動させる。


それに呼応して
空を覆わんばかりの
超巨大ゲートが出現。


それは付近の空一面が隠されて
その間周囲の地上が
暗くなるレベルで大きい。


さすがに強奪対象が
非情に巨大な物であるため、
通常のゲートから出現するプロセスとは
大きく異なっていた。


通常は固定されたゲートの中から
強奪物が移動して出てくるのだが、
今回はゲートが移動してそれを現出させる。


空中に出現した超巨大ゲートが
上から下へと降りて行く。


ゲートを境に山の頂が現れ、
下がって行くのと同時に
山の全貌が徐々に明らかになって行く。




勇者はクローン部隊と共に
山を転移強奪してみせたのだ。


勇者とクローン達は
造り上げた溝の境に沿うように
次々と山々を転移強奪で出現させる。


大陸の西側と東側を
海のような、川のような、
まだ何とも言い難い溝で区切り
その川を挟んで東側の境に
山脈を造り上げた。


これが当初勇者が言っていた
高い壁と言うことになり、
山脈と言う高い壁を勇者は造った。


もし次魔王軍が侵攻して来る時は
この山脈越えをしなくてはならず、
相手にとっては圧倒的に不利になる。


勇者は大陸の東側そのものを
山で囲まれた天然要害にしたのだ。


いや勇者が造ったものではあるのだから
天然と言うのは正しくない、
天然物を使った人工要害もしくは
天然要害を人工的に造り出した
というのが一番近いだろうか。




これまで勇者の転移強奪で
最大サイズと言えば、
おそらくはドーム球場であったが、
クローン達の協力があったとは言え
ついに山をも召還させた勇者。


能力を使いこなす
熟練度が高くなるに連れ、
よりパワーアップを果たしていると
勇者も感じてはいたが、
それがこの先様々な場面で
発現されて行くことになる。











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