【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

サンドウォームと巨大土竜

「勇者様ぁ! 
連れて来ましたよぉっ!」


「おっ、
また随分とデカいの釣って来たな」


テトと少年少女魔道士団の子供達は
ビャービャーと泣きながら
全力で走って向かって来る。


その後ろ、
地中が何やら盛り上がって
子供達を追い掛け回す。


土煙を撒き散らしながら
土の中から浮上し
顔を現したのはサンドウォーム、
巨大ミミズであった。


近辺の砂漠に
サンドウォームがいると
テトに聞かされた勇者は
自分達を撒き餌にして
サンドウォームを連れて来いと
また無茶振りしていたのだ。


そういう、言ったもん負け
みたいなことをするのは
部下がやる気を失くすので
止めた方がいい。




サンドウォーム、
要は巨大ミミズなのだが、
太さ十メートル前後で
全長数百メートルと
大きいにも程がある。


顔前面は大きな口のみとなっており、
口を開くと鋭い牙が
何層にも重なって生えている。


そんなものに追い掛けらたら
それはもう全力で逃げるしかない。


一応はビーストマスター能力が使える
複製勇者が子供達に同行していたが、
何故か子供達ばかりを追い掛け回していた。




ミミズはよく魚のエサに使われるが、
まさかミミズのエサになりかけるとは
子供達も思いもしなかっただろう。


「お前らはな、
ちょっと弱々し過ぎるんだよ、
もっと逞しくならないと」


さも親心であるかのように
自らを正当化するような発言の勇者だが、
パワハラしているのに気づかない
学校教諭のようになってしまっている。


-


勇者は子供達が連れて来た
サンドウォームを複製し、
数百匹まで増やす。


これで地中深くを
こねくり回してもらい
地表を陥没させようという考えである。


一匹でも見た目がアレなのに
数百匹ともなると
もはや巨大ミミズ祭りで
さすがに勇者も気持ちが悪い。


しかも巨大ミミズを自在に動かすために、
ビーストマスター能力を発動しており
そんな見た目で数百匹が
勇者に甘えて擦り寄って来るのだから
性質タチが悪い。


テト達に過酷なことをやらせた
罰が当たったということだろう。




別働隊が捕獲に行っていた
巨大土竜と合わせて、
境界線に沿った形で
大陸を何往復も縦断してもらう。


これ程までに巨大なミミズが
何百匹も群れをなして
地下の同じラインを
暴れ回っているのだから、
やがて地表もどんどん下がりはじめて行く。


俯瞰して見て
以前切り取り線のようであったラインが
薄っすらと溝になって行くのがよくわかる。


-


その溝が更に深くなった頃、
サンドウォームの複製達は
お役ご免ということで
勇者が最初に転移贈答で
仕掛けていた体内の爆弾により
地中深くで自爆してもらう。


もちろん地盤を更に壊し、
緩くするためでもある。


「えぇっ、なんだか
ちょっと可哀想じゃあないですか」


散々追い掛け回されたというのに、
テトをはじめ心優しい子供達は
ちょっとサンドウォームに同情してしまう。


「あんなの
大量に野放しにしてたら、
その内大陸ごと地盤沈下するぞ」


オリジナルのサンドウォームと
巨大土竜は魔王軍が侵攻して来た際、
地中のトラップになってもらうために
その近辺を住処にしてもらうことにした。











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