【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

地中貫通爆弾

クローン部隊の初仕事は
戦場で兵士として戦うことではなく、
土木作業員として働くことだった。


魔王軍内部が
武力衝突を繰り返しており、
クローン部隊という人手を確保した今、
やるなら今をおいて他にないと
決断した勇者は
かねてより考えていた
大陸分断計画を実行する。


勇者の当初のイメージでは
すごい魔法か何か、もしくは
すごく太いレーザービームか何かで、
スパーッと大陸を真っ二つに
切り裂く筈だったのだが、
現状使えるものを考えると
ただひたすらに地味な作業を
繰り返すしかなかった。


『もうこれ、ただの土木工事だろ
大規模な』


とりあえずの目標は
大陸中央やや東寄りの位置に
大陸を分断する溝をつくること。


幅や深さはそこまでは必要ない、
水がそこを流れてさえいれば
大陸は分断されているように見えるし、
後から深くすることも、
幅を広げることも出来る。




-


作業は、勇者が転移強奪で
人間世界から地中貫通爆弾を
手に入れる所から始まる。


『これ、持ってるとこ
そんなにねえだろ、
すぐ在庫無くなっちまうな』


上空から落下、重力を利用して
地面深くに突き刺さり
地中で爆発を起こすこの兵器は、
人間世界でも所有している国が少なく、
大量に使用するとなると
当然在庫不足に陥ることが予想される。


勇者は前回自らのクローンを
大量生産する際につくった
複製能力で地中貫通爆弾を
大量に複製し始める。


勇者によって複製された地中貫通爆弾は
上空千キロメートル付近で待機する
クローン勇者の転移能力で
一気に高空まで移動、運ばれる。


そこで魔法を使えるクローン勇者から
命中精度UP、落下速度UPなどの
魔法を掛けられた後に落下。


重力によって、
超高度からの落下速度は高まり、
魔法でそれをさらに加速させる。


硬い材質で出来た尖った先端が
大地を深く貫き、突き進む。


地中深くまで潜った所で、
内部の爆弾が起動し
爆破によって硬い岩盤を崩して行く。




この流れ作業が
何班にも分かれたクローン達によて
ひたすら繰り返された。


大陸の現場付近には
ひたすら雨のように
地中貫通爆弾が降り注ぐことになる。


今回一番大変なのは、
おそらくその距離で、
事前に山や障害物の少ないところを
切り離し境界線として選ぶなどしていたが
距離だけはどうしようもない。


可能な限り最大火力の兵器を使ってはいるが、
これだけは地道に移動しながら
進めて行くしかない。


『やっぱりこれ、
ただの土木作業だろ』




この作業をひたすら繰り返した結果
ようやく空から俯瞰して見た時に、
大陸の中央付近に
ミシン目の切り取り線があるように
見えてくるようになる。











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