【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

異世界ハロウィン

「お前ら囮な」


突然勇者に転移強奪で
大陸の西の外れに連れて来られた
テトをはじめとする
少年少女魔道士団の五人は、
そう告げられた。


「お前ら、
今度こそちゃんと
自分の身は自分で守れよ」


テト以外の
少年少女魔道士団の四人は
プリーストの見習いで
ちゃんと結界が張れる
少女達が選ばれてはいた。


-


西の外れに続々と集まって来る
アンデッドの大軍勢。


ゴーストをはじめとする
霊体系のアンデッドが宙を舞い、
肉体を実体を持つアンデッド達が
ドーム球場を目指して行軍して来る。


ゾンビ、グール、マミー、
ヴァンパイア、スケルトン
と言った人型をはじめ、
群れの中にはドラゴンゾンビや
ジャイアントゾンビまで見られ、
当然それ等を指揮をする
リッチやネクロマンサー達の姿も
確認することが出来た。


その数は数十万にも
達するのではないかと思われ、
そのすべてがアンデッドであるのだから、
さぞや薄気味悪い光景になると
勇者は思っていたのだが。


『もうこれ、
ただのハロウィンだろ』


本来であれば
身の毛もよだつ光景の筈なのであろうが、
白いドーム球場がすべての雰囲気を
ぶち壊してしまっている。


もはやハロウィンの日に
ドーム球場で行われる
イベントに集まって来た
仮装している人達にしか見えない。


-


ドームのグラウンド、
そのど真ん中には
少年少女魔道士団の子供達が
固まって結界を張っている。


人間の肉体に引き寄せられて、
ゴーストやファントム、
スペクターなど死霊、霊体系
アンデッドが続々とドーム内へと
集まって来ていた。


「ヒェェェッ」


おびただしい数の
霊体系アンデッドに怯える子供達、
おそらくはトラウマ間違いなし。
人間世界であれば
児童虐待案件待ったなし。




子供である自分達が
周囲に張っている
弱々しい結界だけが頼りであり、
これが壊れてしまっては
どんな目に合うか
わかったものではない。


「リザレクション!」


泣き叫びながら
浄化魔法を使う子もいたが、
その圧倒的な数の前には焼け石に水。


「こ、ここは、勇者様を信じて、
魔力の無駄遣いは止めて、
結界を張ることに専念しようっ」


ビビって震えながらテトは
みんなに指示を出すが、
前回見殺しにされかかっているので、
説得力はあまりない。


ドーム内に溢れんばかりの
霊体系アンデッド、
みな宙を浮くことが出来るものだから
その高い天井近くまで
びっしりと埋まっており、
その数は人間が利用している時の
比ではないぐらいの超満員。




例によって遠く離れた崖の上から
その様子を高性能双眼鏡と
千里眼で見つめている勇者。


最近ようやく能力として
千里眼も使えるようになっていた、
あくまで魔法の方ではない。


「あいつら大人気だな」


『このドーム球場も
過去最高の観客動員数
記録しちまったな、こりゃ』













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