【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

異世界と民主主義

四魔将の一人フィーアにだけ、
勇者は変わった暗示を掛ける。


『王政を廃し、
民の中から多数決でリーダーを決める
世界を目指せ』


簡単に言えば民主主義なのだが、
魔王と『王』が付く以上、
魔王軍はやはり王政なのだと
勇者は今回改めて気づいた、
しかもかなり大昔の封建主義的な。


最も力ある者が王になる、
それはわかりやすく
シンプルであるが故に壊れにくい。


そこをぶち壊すイデオロギーとなると
やはり民主主義になるだろうかと
勇者は思い至ったのだ。


およそ中世ヨーロッパぐらいで
時が止まっているかのようなこの世界、
人間世界がその先で体験した
近代化という背景が全くない、
まるで人間世界のif、
パラレルワールドのような世界。


勇者はそこでいきなり王政を廃し、
資本主義などの過程をすべて飛ばして、
いきなり民主主義を目指せ
と言っているのである。


もちろん混沌が目的で、
本当に民主化させようと
勇者も思っている訳ではない。
もし本当に民主化したら
それはそれで面白くはあるが。


しかし、この世界の者達が
再び戦う意欲を取り戻すための
新しい理想と考えれば
結構いいのではないかと
勇者は思う。


勇者自身は
イデオロギーに興味はないが、
エルフが大統領になる日が
いずれ来ると言えば、
エルフのおさ
もっと目の色を変えてくれるだろう。


臆病に保身に走った者を
再び引っ張りだすには
それなりの理想や
大義名分が必要なものだ。


さすがにビッチーズの誰かが
大統領になるというのは
ちょっとご遠慮したいところだが。


そんなことを思う勇者、
彼はこの世界に
人間世界の現代兵器を持ち込み、
物質文明、環境問題を持ち込んで来たが、
次は政治的イデオロギーを
持ち込もうとしているのかもしれない。


そういう意味でもこの勇者が、
ここ異世界のアナーキストであり
風雲児なのは間違いない。


-


そしてダークナイトに扮した勇者は
再びエルフのおさ
密会した時にこう語るのだ。


「魔王軍の四魔将であるフィーア殿が、
なんでも魔王が退位した暁には、王政を廃し、
民同士に多数決でリーダーを選ばせる
民主主義なる仕組みを考えておられるとか」


「な、なんと、王政を廃する?
そんなことが有り得るのでしょうか?


この世界は力こそがすべて。
だからこそ魔王のような者が、
支配者として君臨しているのですぞ」


「なんでも、
その民主主義と言うのが実現した暁には、
民に選ばれれば、どのような者でも
この世界のリーダーになれるとか。


もしそんな世界が実現したならば、
エルフ族の者が
この世界のリーダーになるということも
有り得る話かもしれませんな」


「そのような新しい世界が、
本当に実現出来るとお考えか?」


「そんなフィーア殿が考えておられる
自由な国が実現出来れば、
どれ程素晴らしいことでしょうな」


案の定、勇者の予想通り
エルフのおさは食い入るように
話に聞き入り、興味津々であった。


-


兎にも角にも、魔王軍内部に
魔王包囲網を築きつつある勇者。


『ビッチーズ』のお陰で、
思った以上の収穫を
得られることが出来たのは間違いない。


『ご褒美に仕掛けた爆弾を
外してやってもいいかもな』


やはり本当に
爆弾は仕掛けられていたのか。


『まぁせっかくだし、
魔王を倒すまで利用させて貰うかな』


自分達の命を人質に取られ、
脅迫されている
サキュバス達が解放されるのは
まだまだ先のことになりそうである。













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