【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

催眠洗脳

再びアインとの接触を図るために、
勇者は今日アインが
視察に来る予定の敵拠点に
透明化して潜入していた。


これまでとは異なり、
今度はいよいよ勇者として
アインと接触しなくてはならなかった。




城内の貴賓室に
アインが一人でいることを確認すると、
勇者は透明化を解除して、
その前に突然姿を現した。


この先のことを考えて、
やはり顔を見られたくない勇者は
仮面を着けている、
今回はモザイクという訳には
いかなかったのであろう。


未だレベルが低い勇者、
敵に攻撃されたらひとたまりもないため、
まずは敵の身柄を完全に動けないように
拘束する必要があった。


なので、まず最初にすることは
相手の体が動かなくなる能力を使い
敵の動きを封じること。


時止めは数秒しか効果がないが、
相手の動きを封じる能力であれば
持続時間が長い。


-


相手の動きを止めてから
暗示や催眠術、洗脳といった能力で、
動けないアインに暗示を掛け行く。


『魔王を見たら殺せ』


勇者は未だに魔王を倒して
このゲームを終わらせるには
暗殺しかないと考えており、
そこは全くブレてはいない。


そして、これは
アインのみに掛けた暗示で、
他の三人には掛けてはいない。


これを四者みなに掛けてしまうと、
魔王軍の内部抗争がはじまる前に、
魔王と遭遇してしまい
全員が返り討ちにされる可能性が
ゼロではない。


勇者の狙いは
あくまで内部抗争により
魔王軍を内側から崩壊させることであり、
四魔将を倒すだけであれば
今この時点で『転移消滅』を使って
アインを消し去っている。


アインには魔王暗殺のための
刺客となってもらう。


もし仮にアインが
魔王に返り討ちにされたとしても、
残り三者の派閥で争ってくれれば
それはそれで問題はない。


-


『次の魔王にはお前がなる、
他の魔王候補を排斥せよ』


この暗示は四魔将全員に掛けた。
これが内部の派閥争い、
内部抗争の火種となってくれる筈だ。




アインだけではなく、
他の三者にもそれぞれ独自の暗示を
勇者は掛けている。


『魔王の居所を探せ』


これはツヴァイだけに与えた暗示。


以前から
ほぼ姿を見せなかったらしい魔王、
あの決起集会以降、
魔王の姿を見たものはおらず、
四魔将ですら会っていないと言う。


勇者には魔王の居所さえわかれば、
すぐにでもこのゲームを
終わらせる自信がある。


『転移消滅』を取得した今、
勇者が視認さえ出来れば
魔王をこの世界から
追い出すことは容易い。




『魔王を弾劾し排斥せよ』


この暗示はドライだけに掛けた。


勇者による度重なる暴挙、
その責任追及を魔王に求め
魔王を失脚させる。


その行為が魔王の逆鱗に触れて
ドライが処刑される可能性も
勇者には織り込み済みで、
怒って処罰するということは
魔王が何かしら誰かと接触する
ということに他ならない、
命令を下すだけにしても
誰かにそれを伝えなくてはならず、
その相手はアインである可能性が
非常に高い。


彼等が携帯電話でも使っているなら
また話は別だが。




魔王が篭っいても
魔王にとっては事態が悪化するし、
出て来たら来たで命を狙われる、
そんな状況を勇者は
つくり出したかったのだ。


そして四人目のフィーアにだけは、
勇者は少し変わった暗示を掛ける。











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