【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

転移消滅

少し先の話になるが、
後から真相を知った
伝説級の不死身で巨大な
ドラゴンのおさは、怒り狂って
東側の人間エリアに向かって来た。


どうやら勇者が
ダークナイトを殺害したところを
隠れて目撃していた
小型ドラゴンがいたらしい。


携帯通話でテトから
巨大ドラゴンのことを知った勇者は
急いで人間エリア付近まで転移する。


例の迎撃用フリースペースも
あれは魔王の地上軍用であり、
巨大ドラゴンは想定されていない。


そもそもドラゴンは
空を飛んで来るので、
地雷は全く使えない。


地雷を使ったところで
効果があるとも思えない。


あれは大量の敵兵を
一網打尽にするためのもので
言ってしまえば
雑魚狩り専用みたいなものだ。


今回のような中ボスみたいな相手には
効果は全く期待出来ない。




また、そもそも論になってしまうのだが、
本当にあいつは不死身なのかと
勇者は未だに疑問を抱いている。


小型ドラゴンは
傷ついても疲弊もしていたし
巨大ドラゴンも何処まで
不死身なのか気になるところ。


アンデッドと言い、
この世界は不死身が
多過ぎるんじゃないかとも
勇者は思う。


そんなことを言っていても
仕方ないので、勇者的には
なんとかするしかないのだが。


-


東側の人間エリアに向かって
高速で飛んで来る巨大ドラゴンを
空に浮き待ち構えている勇者。


「すべて貴様の仕業か、新しき勇者よ」


巨大ドラゴンは勇者の前で止まり、
律儀に本人確認をする。


「へぇ、あんた喋れたんだ」


「あんた達ドラゴンは
本当に不死身なのか?」


「少なくとも
儂は不死身であろうな、
この数千年間、
一度も死んだことはないのだから」


そもそも死んだことがないのだから、
不死身かと問われても
ドラゴン的にも多分そうとしか
答えようがない。


「じゃぁ、アレしかないか」


勇者に向かって
再び突進する巨大ドラゴン。


勇者は時を止める。


しかし勇者には
この不死身のドラゴンを
倒すだけの攻撃力はない筈。


勇者は巨大ドラゴンに向けて
左手の掌を突き出す。


「転移消滅」


その言葉と共に
ドラゴンの背後に
異空間に繋がるゲートが出現。


巨大ドラゴンを呑み込んで行く。


あっという間にゲートに吸い込まれ
巨大ドラゴンは影も形もなくなっってしまう。


勇者が出現させたゲートの先は、
数多あまた存在する異世界と繋がっており、
巨大ドラゴンは何処かの異世界に
強制的に送り込まれてしまった。


勇者の手には負えないから、
他の異世界に不法投棄された、
ポイ捨てされたとも言える。


-


今回の勇者の結論としては、
不死身だと言うなら殺さない、
というか戦わない、
この際だから何処かへ行ってもらう、
ということになる訳だ。


『転移強奪』が
何処から奪って来ているのか
わからないのと同様に、
『転移消失』も
何処に飛ばしているのかは
勇者にもわからない。
ただこの世界ではないことだけは
間違いない。


飛ばした先が
ブラックホールなどであれば
丁度よい感じだが、
勇者が元居た人間世界などであれば
目も当てられない。


ある日突然、
向こうの世界にドラゴンがやって来て
人類が滅んだということにもなり兼ねない。


しかし勇者も過去の世界は
振り返らない主義なので
それはそれで仕方ないぐらいで
済まそうとしている。




不老不死だとか不死身とかには
確かに有効な技ではあるので、
アンデッドにも
使いたいところではあるが、
残念ながら一回で一体しか
転移で飛ばすことは出来ない。
大量に湧いて来るアンデッドを
一網打尽には出来ないということだ。


とは言え、
今まで一対一の戦いで
低レベルのため攻撃力不足で
トドメを刺すことが
出来なかった勇者には
丁度いい必殺技が出来たことにもなる。


この勇者が、
今後一対一の戦いを
することがあるとは思えないが。











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