【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

ダークナイト再び

「おい、聞いたか?
今度決起集会が行われるらしいぞ」


「あぁ、
新しい勇者が、川を汚したり、
森を燃やしまくっていて、
早く討伐しないと
大変なことになるらしいな。
なんでもその勇者討伐の
決起集会だとか」


「勇者の癖に、
随分と外道な野郎だな」


自らを透明化して
敵場内を潜入調査している勇者に
そんな会話が聞こえる。


『また随分、
と酷い言われようだな』


勇者の悪評はあっとい間に
魔王軍の中にも広がっていた。


戦闘行為としては、
奇襲と迎撃しかしていないが、
環境汚染、破壊の行為を
指して言っているのだろう。


それだけ敵に効果がある
ということでもあろうか。




それにしても、
勇者はこの魔王軍に対して
違和感が拭えない。


勇者が持っていた
魔王軍のイメージとはまるで違う。


前回の進軍もそうだったが、
規律正しく、
きちんとした秩序がある、
これではまるで
魔王軍の方が常識人、
普通の人間のようではないか。


魔族と言うのは
もっと混沌カオスであるべきではないのか、
このままでは、
勇者である自分の方が
よっぽど混沌カオス属性ではないかと。


敵地での潜入調査でずっと
勇者はそのことを感じていた。


秩序・規律ある魔王軍と
混沌カオスな勇者というのも
笑えない冗談みたいではある。


-


そんなことを考えていると、
勇者は急に催して来て、
慌てて城外へと出る。


夜、外は真っ暗であったが
人気ひとけがない所まで移り、
丁度よい垣根に向かって用を済ませ、
ほっとする勇者。


しかしその安堵がまずかった。


「貴様、何者だ!」


勇者は体をすくめてビビる。


『しまった!
立ちションの間、
透明化の効果が切れてた』


しかし、聞き覚えがある
低く唸るような、
迫力と貫禄のある声。


勇者が振り返ると、
真後ろにダークナイトの姿があった。


兜と仮面を着けていて、
今回もやはり顔は見えないが、
何処からどう見ても前回と同じ
ダークナイトにしか思えない。


『え?
こいつ生きてた?』


「あれ?」


「久しぶり?」


「なんだ貴様は、馴れ馴れしい、
我は貴様のような奴は知らん」


「だよねえ」


『フルフェイスのメットとかやめろよ、
顔とかわかんねえじゃねえかよ』


どうやら前とは
違う個体らしいが、
外見からでは
全く見分けが付かない。


おそらく強さも前回同様で、
勇者が一目見ただけで
その強さが分かるレベルである。


「さては貴様が、
卑劣極まりない手を使い、
卑怯で下衆で下劣だと
噂の新しい勇者だな?」


『俺、魔王軍に
そんな言われ方しかしてねえのかよ』


「ここまで侵入して来て、
汚物をまき散らして
環境汚染を続けるとは
なんたる恥知らずな外道」


『いや俺、
立ちションしてただけだから』











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