【胸糞注意】な勇者請負人、そして神々、時々ドラゴン

ウロノロムロ

おっさんドラゴンの現場

次の現場では、
勇者が弱すぎた。


レベルもろくに上がっていない、
武器や防具、装備も貧弱な
到底自分を倒せそうにもない
勇者一行。


おっさんドラゴンは
勇者をどやしつける。


「自分らホンマあかんで、しかし
ワシのこと中ボスだと
思って舐めとんのと違うか?」


「い、いや
決してそんなことないっす」


怒られた勇者は慌てふためている。


「そもそも、こんなんで
舐めてないと思ってること自体が、
ワシを舐めてるということや」


「全滅エンドが希望
というわけやないやろ?」


「すいません、
俺達まだよくわかってなくて」


このままでは
全滅エンドにされるのではないかと、
勇者はおどおどしながら、
事情を説明する。


「かぁー、
なんや自分ら超初心者かいな、
また厄介な現場に来てしもうたで」


おっさんドラゴンは天を仰いで嘆く。


「しゃぁーないな、
じゃぁワシが教えたるわ」


おっさんドラゴンは文句を言いながらも、
自分を倒すのに必要なレベル、
装備やら道具を説明してやり、
それがどこで入手出来るか、
その手順なども詳細に教えてやる。


「頼むで、出来るだけ
はよ準備して来てな、
ワシも次の現場行かなあかんねん」


「ありがとうございます、
出来るだけ早く戻って来ますから!」


弱過ぎる勇者一行は
慌てて準備に戻って行った。


-


次の転移の現場では、
やたらと時間が掛かった。


いつまで待っても、
勇者のパーティーが
一向に現場に来ないのだ。


散々待たされて、
ようやく到着した勇者一行に
文句のひとつも言ってやる。


「自分ら、ここまで来るのに
どんだけ時間かっかってんねん!」


「寄り道しし過ぎやで!自分ら」


「こっちは現場回してなんぼなんやから、
しっかりしてもらわんと困るで、ホンマ」


おっさんドラゴンの剣幕に、
勇者は頭を掻きながら言い訳する。


「すいません、
自分レベル上げるのに
時間かかってまして、
自分、先にカンストしてから
進めるタイプなんで」


「カンスト厨かいな、
ほなしゃぁないかもしれんけどもや」


「自分もまた随分と
けったいな性格やな~
しかし周りの人の迷惑も
考えんとあかんで、ホンマ」


「すいません、
これから気をつけますんで」


勇者は頭を掻きながら
おっさんドラゴンに謝った。


「ほな、やろか。
自分カンストやったら
武器なしでも、いけるんちゃう?」


「そんだけ強いんだから、
痛くないように一瞬で頼むでぇ~」


「ちゃちゃと頼むで、ホンマ」


-


次の現場では、
雑魚モンスターが
やる気無さ過ぎだった。


「なんやなんや、
そのやる気ない感じは!」


おっさんドラゴンは
そういう雑な仕事が
許せないタイプだ。


「そんなんやと自分ら、
もう次使ってもらえなくなるで!」


「HPゼロなんで
もう勘弁してください、みたいな
手抜いたやっつけ仕事はあかんで!」


「ワシらかて金貰ってやってるんやから、
キッチリそれだけの仕事はせなあかん!」


職人気質で、
仕事に対するプライドは人一倍高い、
真摯に仕事に取り組む
おっさんドラゴンだった。















コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品