勘違いから始めました

ハリネズミ2018

第1

「くぅー」
大きく伸びをすると外は紅く染まっていた
近くの公園では子供たちの「ばいばーい」という声が聞こえてくる。
「帰ろうかな」
机の上を片付けて椅子をしまうと司書さんに
「ありがとうございました。帰ります」
司書は山田と言うらしい。
ネームプレートに[山田]と書いてある
「さようなら」と笑顔で言った。
足早に図書館を出るとスマホを取り出した
 

プルルルルルルプルルルルルル

千乃ゆきの
まだ帰ってこないのぉ?」
「ごめん、今から。
なんか買ってくものある?」
「いいかなぁ。今日は野菜とかあるしぃ」
「わかった、じゃあね」


ツーツーツー






「ただいまー」
「どれぐらい勉強出来たのぉ?」
「まぁまぁかな、明日も行くから」
「いいけどぉー私との時間も作ってねぇ♡」
「はいはい」









「じゃあおやすみ」
「おやすみぃ」


[カチャ]
ドアの開いた音がした




ん?誰か来てる?
また美奏かなが友達連れてきたんだな
夜はやめてって言ってるのに
まあいいか
寝よ








..............................?
体の節々が痛い
うん?
ベッドはどこ?
手元にあったスマホで周りを見渡してみるが美奏も同じように縛られているようだ

ちなみに午前2時を回っている 

私の部屋はこんなに無機質じゃない
ここはどこだろう

助けに行こうと思ったが手足が縛られている。しかも口が塞がっているので叫んだり助けを求めることができない。
どうしよう。

コツコツコツコツ

ん?足音?

あれは革靴の音だ
誘拐などは力仕事と見ていいから
運動靴で行うはずだ
ということはこちらに向かって来るのは誘拐犯の可能性が低いと思う
上の方の人間なのだろうか
1人であれば倒せなくない

一応合気道は3段だし

カッカッカッカッ

「すみません遅れました。」
「あぁいいんだ」

くそ。2人か
最低限の危険に留めておくために
大人しく眠ったふりをするしかない


「今回は2人か」
「はい」
「なかなかいい顔じゃないか売れそうだな」
「すぐに手配します。」
「あぁ頼んだよ」



美奏の顔を確認しているようだ
[売られる...?]
このままだと人身売買の被害を受ける危険が高いと考えて良いだろう

ふとポケットに護身用でカッターナイフを入れている事を思い出した。

どうにかカッターを取ると手足の紐を切り
静かに移動した。
美奏...起きて...お願い...
美奏の紐全てを切り終わると美奏が動いた

「う...うぅ...」
「美奏!?大丈夫?」
「なぁに?まだ夜だよぉ眠いぃ」
「違うの私達誘拐されたっぽいの」
「えへぇそんな冗談通じないよぉ?」
「だから周り見て!!」
私が叫んでいたことで信じたのか
起き上がると
「!?マジじゃん」
「早くここから出ないと私達売られるよ」

「......待って。」
「へ?」


美奏は壁を蹴って宙を舞うと入って来た大柄な男2人を見事な武術で気絶させた。

よく見ればスーツを着ている
何をしに来たんだろうか

「ふぅー危なかったぁ千乃はぁ大丈夫?」
「大丈夫だけど...美奏何それ」
「何って?」
「今壁タンって蹴って敵倒したじゃん」
「あぁこれねぇ。これはぁお父様に習ったの
ボクシングとぉ空手、剣道もぉ強いんだよぉ」
「!?そんなに私と比にならないぐらい」
「なんでぇ?私は勉強出来ないしぃ
合気道だってできないよぉ」

びっくりしていると
美奏は男たちの荷物をあさりだした。
「んーこの人達なーんにも持ってない
あ!鍵持ってるぅーこれで出れるじゃん」
「...よし行こう」





「あっれぇ?
そこの女の子達!
ボクから逃げられると思ってるの?
可愛がってあ・げ・る♡
折角のチャンスだもん
無駄にしちゃダメだよ?」


「「ひいっ!!!」」

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