生きて世界を見て廻る

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1章 3節 雨の中の煌めき

謎の女の子サナを仲間に(強制)してネール王国へ向かう事になった。
現在地は、ネール王国近辺の森数キロ歩けば大草原が見えてくる。
「ねえルート」
「なんだ」
「ポーチの中って何が入ってるの?」
「何って…ポーションしか入ってないぞ」
ポーチを漁りながら答える
「ふーんなんか腐ってない?私が見たことあるのと全然色違うよ?」
「はぁ!?そんなまさか!」
赤いポーション取り出し匂いを確める
「ポーションの匂いなんて嗅いだこと無いけど薬っぽい匂いしたから大丈夫だろ」
と自分に言い聞かせた
「まあ解毒は、大丈夫そうだし気にしなくていいんじゃん?」
「お前が言い出しておいてそれかよ…」
「回復ポーションは、基本緑だから不思議だなーって思っただけだから」
「はいはい」
サナの適当さにあきあきしながらポーションを戻す。
「そうや冒険者になるって言ってたね」
「言ったね」
「武器使えんの?」
「ふっ!失礼な!使えるわけ無かろう」
ドヤ顔で答えるルートをあきれた目で見る。
「よくそれでランナー相手に死ななかったね」
「ランナー?」
「そ、ランナーウルフ、ルートが追いかけられた狼の事」
「そんな名前だったのかでも助かって良かったよ本当」
「でその後に滝から落ちたらしいけど痛みは無かったの?」
「あーそれなんだが全く持って正常なんだよねこれがまるで神様に助けられたみたいだ」
「助けたのは私」
「はい、ありがとうございます…出来る限りお礼はするよ」
「じゃあこれからもよろしくね」
「え…まじで?」
「うん」
「ずっと俺に着いてくるの?」
「そ」
「え、意味わかんない何で?暇なの?」
「理由なんてないルートが面白そうだから」
「ネールまでじゃないの?」
「パーティメンバー必要でしょ?私弓使えるよ」
「じゃあ今度教えてくれ」
「いいよ~」
とサナと他愛もない話をしながら森を進む、そろそろ出口なのだろうか、木の数が減ってきた気がする。
「もう少しなのかな」
「あ~そうだねでも少し急いだ方がいいかもね」
サナが上を見ながら話す。
「どうしてだ?」
「多分雨降るよ、雲行き怪しいし」
「まじかよ!急ごうぜ!」
少し早めに歩きだした、もう少しで森の出口というところでそれが現れた。
ザッザッザッと言う足音、眩しい位に燃える青い炎、巨大な体。
「あ~まずいね」
「おい、あれ…やばくないか」
歩んでいた足を止めそれを見つめる。
「この森にいるとは聞いてたけどまさかね」
「何なんだあれは」
「あいつはブルーフレイムベアー、通称 青熊だね」
サナが淡々と説明する。
「名前は、分かったけど!何で炎出てるのに木は燃えないのよ!」
「青い炎は、自分の意思で燃やすか判断するから燃え移らないだけ、ちゃんと触ると熱いから気をつけてね」
「いやいや!戦うのか?」
「無理、近付くと熱いし燃える、そんなのヤダ」
「じゃあ決まったな」
まだ気付いていないため草の影に隠れやり過ごす。
「よし、今だ!」
全力で走って森を抜けようとするが、青熊が足音で気づいたのかすぐに追いかけてきた。
「おいおいまじかよ、どうするよ」
「逃げるしかないよ、走って!」
無我夢中で走り続けた。
「俺走ってばっかり」
そんな事を言っていると、雨が降りだした、始めはポツポツだったがすぐにどしゃ降りになった。
「運が無いな」
「濡れるの嫌い」
「とにかく走れ!」
足元が悪い中、森を抜け草原へ出た2人は少し安心した。
「森は抜けたな、あっ!」
安心と同時に足を滑らせ転倒してしまった。
「ルート!」
サナは、少し先に行ってしまったが足を止める。
「イテテテ」
体を起こし体制を立て直す時にはすでに、青熊が追い付いていた。
「ダメだやるしかねぇな」
グオォォォォと言う青熊の叫びと共に立ち上がり剣を構える。
「無茶は良くない、ルート!」
「でもここでやらなきゃどのみち殺られる、だからやるしかない」
熊を目の前にして初めて分かる恐怖、今からするのは命がけの戦い、足は震え、雨で剣を握る手は少し滑り、自分の体よりデカイものを相手にする。
「はぁはぁ…やるぞ、はぁぁぁぁぁぁ!」
青熊に向かって走り、剣を右から左に振る、だがあっさり青熊に避けられてしまった。
「なんの!」
振った後もう一歩前進し、そのまま逆に振る、だが青熊も反撃してきた、剣が当たりそうな所で青熊の右フックが左腕に入った。
「がはっ!!」
何も防御していなかったのでまともに入った、だが青熊の爪に当たったのでは無く腕に当たったのは、不幸中の幸いだった。
「痛ってぇな…」
腕に当たったとはいえ、殴られた事には代わり無い、左腕はボロボロだ、剣を右手だけで構える。
「やめろ!ルート」
サナが走りながら近づいてくる。
「ダメだ!来るな大丈夫、まだやれる」
雨か汗で濡れた目元を拭きながら答える。
「きっと勝機はあるはずだ」
雨もかなり強くなり、ゴロゴロと雷まで鳴りは始めた、そんな事もお構い無しに青熊は、突進してくる、そんな熊を見て気がつく。
「あいつ…炎が消えてる…雨ずぶ濡れ…」
唾を飲み、決心する。
「うおぉぉぉぉぉ!」
叫び声をあげながら、突進してくる青熊向かって走り出す。
「ダメだって!」
サナが叫ぶがルートは、歩を止めない、そして数メートルのところでジャンプし剣を天高く掲げた、それと同時に天から鳴る轟音と共に巨大な光の一線が落ちた。
「おさらばだな!」
落雷共に青熊を切りつけた。

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