時空の調停者

ライキ

本当の力

大男のうち1人が素手で掴んできた。もちろん僕にはそんな戦闘経験なんてない。あっさりと胸ぐらを掴まれてしまい押し倒された。
その後は分かる通り。ただ殴られ続けた。

「力のないやつが人助けなんてしようとするからそうなるのよ。弱者は強者の前にはひれ伏しなさい!」

そうか。力があればよかったのか。でも僕には能力は何もない。 

「なんで僕にはなんも与えられなかったんだよ。他の人みたいに冒険して人を助けたりしていい人生送りたいよ」
「おぉ。どうしたガキィ   遺言かぁ?
1人で話してんじゃねえよ!」

僕が独り言を呟き大男が殴ってこようとした瞬間、パッと頭の中に記憶が流れ込んできた。

(走馬灯?)

その光景は僕がまだ子供の時、倒産と一緒に森へ出かけたときの光景だ。
「ラウム!あの狼に向かって能力発動してみろ!」
「わかった! 空帝  絶!」

ここで映像は終わった。
まだ殴られていない。一か八かやってみよう。両手を前に出して 
「空帝   絶!」

すると大男のいる場所、もっというと僕の両手の先の空間がぐにゃりと曲がり大男が一瞬で消えた。下半身を残して。
「キャアアアァァァァァ」
少女が悲鳴をあげると同時に
「あんたこいつやばいやつかもしれないわよ。一旦引くよ!おいで!」
「わかった姉さん。おまえこの分は必ず返しにくるからな!覚悟しておけ!」
と言って路地裏を出て行った。
後に残ったのは僕とその少女と僕が殺してしまったのだろうその冒険者の下半身だけであった。

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