自由気ままな最強パーティ!

水無月空

四十七話 逆異世界転生~人助けから始まる有名人~下 そして帰還

「ねぇ、佑くん。私さ帰ったら、
 魔法の研究しようと思ってるんだ。」
 魔法にはまだ解明されていないことが
 めっちゃたくさんあるんだ。
 それを解明したいらしい。
「おっと、おばあちゃんだいじょうぶか?」
「ありがとうねぇ。助かるよ。」
 道端でふらふらと重そうな荷物を
 抱えたおばあちゃんを助けていると、
「ミーク!そっちヤバいぞ。」
 火事が起きたらしい建物に
 ミークが水魔法を使う。
『クリエイト・ウォーター』
 大量の水を建物の屋上付近に生成。
 ぶちまける。それに、洗剤を投げ入れ
 泡まみれにする。
「あ、大丈夫か?」
 ぴょんっと跳躍し、窓ふき中に
 バランスを崩し転落しそうになっていた
 お兄さんを救出する。
「下を見るなよ。目を瞑っとけ。」
 ビルから降りる。というか落ちる。
 びゅごぉぉという音を聞きながら
『ソロモンの鍵』
 地面に着地。着地の反動を分散させる。
「鎮火したよ。」
 お疲れ様だ、ミーク。
「お姉さん!ボール取ってぇ。」
 公園の方から野球ボールが転がってきた。
 仕方がないのでひょいっと投げ返す。
 勢いよく飛んでったボールは
 子供のグローブにすっぽりと収まる。


「でさ、研究の事なんだけど。
 いろいろと手伝ってくれないかしら?」
「あ?もちろんだ。いいぞ。」
 どうせ、ミークの事だ。
 すぐに解決して終わらせてしまうのだろう。


≪本日も数件の事故を例の二人が
 解決しました。警察の方も舌を巻いてますね≫
 こんなふうに過ごすこと1週間。
 もはや、ここの生活にも慣れたものだ。
 でも、そろそろ元の世界が恋しいものだ。


『すルげレ』
 手探りで発音の仕方とかを探している。
 もう少しだと思うのだが。
 どんな発音なのだろうか。
「あ、俺ダメ元でネットで発音法調べておくよ。」
 そう、ミークに伝えると部屋の布団に
 転がり、スマホを起動した。


「へぇ、銃ってこういう造りしてるのか。
 おっと、これは爆弾の作り方か。」
 俺は、好奇心からこの世界の兵器の事に
 ついて調べている。元の世界で再現出来たら
 すごく役立ちそうだからな。
 軍事力の拡張である!
 こうして、インターネットの検索は
 どんどんと調べたいことから離れていくのだ。


「あ、するげれって言葉の発音法や
 イントネーションを知りませんか?」
 ダメ元で黒服の人に聞いてみた。
「はぁ?知るか。そんな事。」
「「ですよね~。」」
 まぁ、こちらには魔法が無いのだから
 当たり前だろう。くそぉ、もう少しが遠い。
≪スルゲレ≫
「これじゃねぇか?」
 黒服よ、なんてバカなことを。
 スマホでそんなこと調べられるのかよ。
『スルゲレ』
 今のはミークの声だ。
 やれやれ、無理だろって。
「やったぁ!これで帰れる!」
「まぁじ・・・・・・?」
 俺らの体がキラキラとした光に包まれ、
 足からだんだんと薄くなる。
「黒服さん!ちょっと想定外に帰れそうです。
 え、えと。今までなんかありがとうございました!」
「はぁ?まだ、撮影終わってねぇぞ!」
 でも、魔法起動してるし。
 今強制解除するとどうなるか分からないし。
「す、すみませんでした!さよなら!」


「んっ、帰ってこれたな。」
 俺はベットに横たわり、
 ミークは毛布にヨダレをたらしていた。
「いつまで、寝てるの?お兄ちゃん!」
「そうですよ、ミークさんも!」
「はぁ、早くご飯食べたいわ。」
「ですね!ルシさん。先に席に着いときましょうか。
 今日は私の家に伝わるシチューです。
 名付けてリコ・シチュー!」
「・・・・・・早くしろ。」
 いつものみんなが目の前にいた。
 あぁ、帰ってこれたんだな。
 そう考えるとさっきまでいた二ホンという
 世界も恋しく感じるものだ。
 もしも、また行けるなら行きたいな。
 と、しみじみと思う。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品