自由気ままな最強パーティ!

水無月空

三十九話 謎のメッセージと辻斬り

「なぁ、辻斬りってどうなったんだ?」
「いえ、まだ・・・」
「そうか。まだなのかぁ。俺が討伐してやんよ!」


「というわけで、俺が辻斬りを倒すことになった。」
「まぁじ?集団リンチ?」
 ミークよ。そんな言い方をしないで欲しい。
 そんな、不良のするようなことのように
 言わないで欲しい。しかも、戦うのは俺一人
 の予定だし。
「まぁ、もしもの時のためにルシファーと
 ミークは一緒に来て欲しい。緊急離脱と遠距離
 攻撃のために、な。」


「ぎゃぁ~!めっちゃ強いこいつ!」
 俺の前には辻斬り。
 とりあえず打撃が効くのか試すために
 右手で相手の左胸に正拳突き。正攻法である。
「かってぇ!?何こいつの体アロンダイトでできてんの?」
 アロンダイトとはこの星で1番堅い鉱物である。
 次は異能を発動させ、顔面に一発。
 するとそいつは、顔を拳の速度に合わせて回転。
 俺の拳は目で追える速度ではないのである。
「なにこいつ。ねぇ、俺の攻撃効かない?!」
「あ、思い出した。こいつは、あれよ!」
「?あれってなんだよ?!」
「えっと、あれ。降三世明王よ。
 たしか、不動明王に勝利したやつ。だから、
 不動明王を倒しその加護を得た者しか倒せないわ!」
 加護ってなんだよ。あ、あれだ。
 けっこう昔に倒した不動明王からドロップした
 俱利伽羅剣。
「え、でも、不動明王の力じゃダメじゃね?」
「いや、大丈夫よ。持っている人のスキルもあるわ!」
 あね、納得だ。
「ミーク!俱利伽羅剣。わかるだろ。
 あの、鈍らなやつ。もう真言はわかるから
 取ってきてくれ。」
「りょーかーい。」
 あとは持って来てくれるまで耐えるまでだ。
 頑張れ、俺。
「はい、佑くん!受け取って。」
 早いな。まだ、5秒しかかかってない。
 真言は、確か・・・・・・。
『ノウマク・サンマンダバザラダン・センダ
 ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン』
 これであってるはず。
 そして、剣を抜くと輝く炎。
 この炎は紅蓮である。地上界の全てを燃やし尽くす。
 さっ、これで倒せるのかな・・・?


「悪かったなぁ、俺は不動明王じゃねぇんだ。」
 そう、不動明王と違って俺は強いのだ。
 あんな、雑魚と一緒にしないでいただきたい!
「オマエ・・・マサか。アの・・・。」
 パリンッという渇いた音。ガラスが砕けるような音
 とともに降三世明王は魔素になった。
「おい、みんなー倒したぞ。」
 あれ、誰もいない。
 まさかとは思うが、もう帰ったのか?
 時間は午前3時をまわっているので
 あいつらは、すでに寝たのだろう。
「なぁんで、俺の仲間はッ。自由気ままなんだぁ!」
 俺は、心の底から叫んだ。
「うるっせぇ!」
 近所から怒りのメッセージだ。
 俺は小さい声でごめんなさいと言い。
 その場を離れた。
 俺は、何故か、降三世明王の死に際の言葉が
 胸の奥につっかえていた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品