自由気ままな最強パーティ!

水無月空

三十四話 新たな国王、誕生

『第二回戦の開始ですっ!』
 えぇと、第二回戦は現国内Lvの高さ2位で
 抱かれたい男ランキング2位という称号を
 得ている。彼自身独身であるので人気なのだ。
 まぁ、抱かれたい男ランキング1位は俺だが。
 しかし、有数の高レベル保持者であることにも
 変わりはなく異能も聖剣という、希少なものである。
 記事では高威力かつ広範囲の衝撃波の
 クラック・ウェーブや、聖域という
 アンデット特攻の魔法など、非常に優秀である。
 どうしても、名前が思い出せないのだが。
「よっゆーですね!佑さーん!」
 リコはどうして火に油を注ぐようなことを
 言ってしまったのだろうか?
『第一試合同様、キラキラの声援を受ける
 佑選手!これは精神から切り崩していこうという
 作戦なのかぁ!?』
 あいつらは、どうしても俺を追い詰めたいらしい。
『さぁ、この試合はどちらが勝つのか!?
 神城雄太選手VS龍園佑選手!』
 神城さんというのか。知らんかった。
 そんなこと考えてる場合じゃなかった。
 大剣を上段に構える神城さん。
 俺から見たら隙だらけだ。
 まぁ、Lvが違いすぎるからなぁ。
 自分の体全身に圧縮強化の能力を発動。
 4秒間だけ待って欲しいなぁ。
 待ってくれるはずもなくクラック・ウェーブ。
 跳躍したかと思うと空中で回転し遠心力を
 利用し、地面に叩きつけ、衝撃波で地面が波打つ。
 だが、そのゆっくりとした動作の間に、
 4秒立ってしまった。
 アウトレイジ・バースト。
『えっ、何が起こったのか神城選手倒れ伏している!?』
「ぐぅっ、お嬢ちゃんには負けられないなぁ。」
 誰?お嬢ちゃんって。あ、俺か。
 最近はだいたい10歳くらいの見た目まで成長したぜ!
「まぁまぁ、自分の弱さに絶望してくださいっ!」
 おっと、悪役のセリフにしか聞こえない。
 自分で言ってて怖かった。
「グラウンド・マザー!」
 神城さんの必殺技ともいわれるその技は
 地面をたたき、鋭利な岩を地面から突出させる。
 ズドンッという音が数回、地面から音と同時に
 鋭利な岩。
「サンド・タイタン!」
 おぉう、砂の巨人。
 神城さんの動きと連動している。
「スヴェート!」
 神聖なる力か。
 さすがに俺もここまでの大技を連発されると
 為すすべなしである。
 連発により合わせ技が起こったようだ。
 砂の巨人が岩の巨人となり神聖な力で強化される。
 だが、この技には欠点がある。
 スピードのある俺には相性が悪いのだ。
 本人をたたいてしまえば問題ない。
 ははっ、あっけない。
 俺に歯向かうな。


 5時間後、決勝戦。
『現在、可愛いのに強い龍園選手。
 相対するのは超絶イケメン、龍園榊選手!』
「えっ!?親父。」
「お前、何があって女児になってんの?」
 かくかくしかじか説明したところ
 なんとか、父を納得させることができた。
 父も俺と同じく国王から依頼を受けたらしい。
「まぁ、成長のほどを見せてもらおうかな。」
「は?ロートル冒険者には負けねぇわ。」
 父の異能は命令。
 父の言葉を聞くと洗脳されたかのように
 その言葉に従ってしまう。
 だが、強い精神力の前には無効である。
 決して強いわけではない異能。努力の塊である。
「佑、ミークとはもういろいろしたか?」
「なんも、してねぇよ。てか、いろいろってなんだよ?」
「そうとぼけるなって。うおっ。」
 こんなバカな会話をしているが、戦いの最中だ。
 攻撃を仕掛けるも虚しく空をきる。
「強くなったなぁ、でもなんでお前は王になるんだ?」
「っっ・・・?!」
 一瞬の思案の瞬間腹に攻撃をもらう。
「お前には王になる理由がない。
 それだとお前は王になる資格はない。」
「いや、俺はこの国を良くするんだ。」
「違うだろう?さしずめ楽をしたいんだろう。」 
 図星をつかれ、動揺する。
 その一瞬が命取りとなる。
「佑、この試合を棄権しろ。」
「はい・・・。」
 右手を上げ、棄権の二文字を叫ぼうとする。
「「「だめぇぇぇぇっ!」」」
 三人の少女たちの叫び声で俺の意識は覚醒する。
「棄権なんてして、たまるかぁぁぁ!!!」
 異能を使う余裕もなく、父親に向かって
 駆ける。右の正拳突き。
 己の魂を乗せた攻撃は何物にも止められない。
「うぉぉぉおらぁぁ!」
 俺は閃光と化し、周りの歓声は聞こえない。
 父はにこりと笑い、何かを察したかのように腕を広げる。
 吹き飛ばす。脳の神経系は焼き切れたのではないかと
 思うほどの頭痛。無理をした。
『勝者!龍園佑選手、激闘を制したのは
 弱冠10歳の女の子(元男)です!次の国王に選ばれました。』
 この、歓声、熱い眼差し、羨望と期待と希望に満ちたこの
 スタジアムで、新たな国王が誕生した。
 世界を変える国王が。

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