3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
9話
「ああ……いてぇ……」
オマカとの修行は予想以上に
ハードだった。
手と足のひらにできたいくつものマメ。
まるで棒のように硬くなった腕。
そして、この体中を襲う筋肉痛。
「じゃあ、今日はここまでね。軽く
休憩したら、そこの薪割り頼むわ」
「......はい」
オマカは軽くタオルで汗を拭くと
道場を後にした。
オマカに弟子入りしてから一週間。
この両手に握ってある長さ三十センチ程の
双剣。勿論、木剣だが。
握り方。振り方。体の使い方。
組み手の仕方。その他もろもろ。
ひたすらにこの体に叩き込んでいる。
だが、正直言って成長している感はゼロ。
カードに表示された己のレベルと
ステータスも変わらぬまま。
オマカ曰く、レベルとステータスは
モンスターを倒さない限り、そう簡単には
上がらないのだとか。
それならば、モンスターを倒しに行かせてくれと頼んだのだが、剣の握り方もわからないままでは、ただ殺されるだけだと拒否された。
「強くなれてるのかよ......俺......」
弱気になってもいられない。
朝からの稽古を終えた後は、家事の
手伝いと村でのボランティア活動が
待っている。
隼人は重い腰を上げ、汗を拭き、道場を
後にした。
「あー、疲れた。随分と手間かけさ
せやがって......」
村でのボランティア活動は、その日
その日で変わる。
昨日は、隣の家の草むしり。その前は配達。
更にその前は水やり。そして、今日は
「にゃ~」
 逃げてしまった猫の捕獲だった。
「まあまあありがとね。助かったわ」
最初は見知らぬ奴が来たと、奇異の目
を向けていた村人達も、すっかり隼人
を受け入れていた。
ボランティアを終えた家路の途中だった。
「あれ? あの子......たしかリリィ
だっけ......」
川辺で一人、石を投げて遊ぶ少女の姿が。
家で話すことはまずないし、目も
合わせてくれない。
仲良くなりたいとは思いつつも、半ば
諦めかけていた。
──話しかけてみるか……
「何してんだ?」
腰を屈めて声をかけると、
びくっと肩を跳ねさせた。
「......」
まるで睨み殺すかのような鋭い目付き。
だが、隼人だとわかった瞬間、いつもの
どんよりとしたものへと戻った。
「一人?」
無反応。
「家に帰んないの?」
リリィは視線を川へと戻し、再び石を投げる。
──駄目か......
諦めかけて、先に帰ろうかと腰を上げた時、
ふと彼女の腕に傷があるに気づいた。
「お、おい。怪我して──」
その言葉を口にした瞬間、リリィは
それを隠すように身を縮めた。
「どうしたんだよ、その傷。転んだのか?」
「触んないでよ」
差し伸べた手をリリィは振り払う。
だが、その振り払った腕を掴んだ。
「何言ってんだ。ちゃんと洗って
消毒しないと跡が残るぞ。ほら」
観念したのか、リリィは反抗するのを
止めた。
軽く、川の水で傷口を洗い、持ってた
タオルを巻いた。
少し痛がる反応を見せたが、黙った
ままだった。
「で、どうしたんだ。その傷」
「......転んだだけ」
ようやく反応を示すようになった。
「本当か?」
返事はない。
「気をつけて歩けよ」
そう言ったが、明らかにリリィが
嘘をついているのを隼人は見抜いていた。
──もう少し、注意して見ておこう
翌日。その嫌な予感は的中し、
村の子供たちから小石を投げられている
リリィを目撃したのだった。
オマカとの修行は予想以上に
ハードだった。
手と足のひらにできたいくつものマメ。
まるで棒のように硬くなった腕。
そして、この体中を襲う筋肉痛。
「じゃあ、今日はここまでね。軽く
休憩したら、そこの薪割り頼むわ」
「......はい」
オマカは軽くタオルで汗を拭くと
道場を後にした。
オマカに弟子入りしてから一週間。
この両手に握ってある長さ三十センチ程の
双剣。勿論、木剣だが。
握り方。振り方。体の使い方。
組み手の仕方。その他もろもろ。
ひたすらにこの体に叩き込んでいる。
だが、正直言って成長している感はゼロ。
カードに表示された己のレベルと
ステータスも変わらぬまま。
オマカ曰く、レベルとステータスは
モンスターを倒さない限り、そう簡単には
上がらないのだとか。
それならば、モンスターを倒しに行かせてくれと頼んだのだが、剣の握り方もわからないままでは、ただ殺されるだけだと拒否された。
「強くなれてるのかよ......俺......」
弱気になってもいられない。
朝からの稽古を終えた後は、家事の
手伝いと村でのボランティア活動が
待っている。
隼人は重い腰を上げ、汗を拭き、道場を
後にした。
「あー、疲れた。随分と手間かけさ
せやがって......」
村でのボランティア活動は、その日
その日で変わる。
昨日は、隣の家の草むしり。その前は配達。
更にその前は水やり。そして、今日は
「にゃ~」
 逃げてしまった猫の捕獲だった。
「まあまあありがとね。助かったわ」
最初は見知らぬ奴が来たと、奇異の目
を向けていた村人達も、すっかり隼人
を受け入れていた。
ボランティアを終えた家路の途中だった。
「あれ? あの子......たしかリリィ
だっけ......」
川辺で一人、石を投げて遊ぶ少女の姿が。
家で話すことはまずないし、目も
合わせてくれない。
仲良くなりたいとは思いつつも、半ば
諦めかけていた。
──話しかけてみるか……
「何してんだ?」
腰を屈めて声をかけると、
びくっと肩を跳ねさせた。
「......」
まるで睨み殺すかのような鋭い目付き。
だが、隼人だとわかった瞬間、いつもの
どんよりとしたものへと戻った。
「一人?」
無反応。
「家に帰んないの?」
リリィは視線を川へと戻し、再び石を投げる。
──駄目か......
諦めかけて、先に帰ろうかと腰を上げた時、
ふと彼女の腕に傷があるに気づいた。
「お、おい。怪我して──」
その言葉を口にした瞬間、リリィは
それを隠すように身を縮めた。
「どうしたんだよ、その傷。転んだのか?」
「触んないでよ」
差し伸べた手をリリィは振り払う。
だが、その振り払った腕を掴んだ。
「何言ってんだ。ちゃんと洗って
消毒しないと跡が残るぞ。ほら」
観念したのか、リリィは反抗するのを
止めた。
軽く、川の水で傷口を洗い、持ってた
タオルを巻いた。
少し痛がる反応を見せたが、黙った
ままだった。
「で、どうしたんだ。その傷」
「......転んだだけ」
ようやく反応を示すようになった。
「本当か?」
返事はない。
「気をつけて歩けよ」
そう言ったが、明らかにリリィが
嘘をついているのを隼人は見抜いていた。
──もう少し、注意して見ておこう
翌日。その嫌な予感は的中し、
村の子供たちから小石を投げられている
リリィを目撃したのだった。
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