3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百五十五話 フリーズランド15

まあ、気合いが入ったからと
いって、直ぐに体の冷えきった
タチアナを外に出させることも
できず、急ぎたいところでは
あるが少しここで休憩することに
した。
ちょうどもうひとつタチアナに
聞きたいことがあったし。


「タチアナ。」


「?」


先ほどまでやる気スイッチが
入ってしまい、この島から出るんだ!
と言って聞かなかったタチアナだったが、
今は少し落ち着きを取り戻し、暖めた
お湯をすすっている。


「あのさ......実はあともうひとつ
聞きたいことがあったんだけど──」


と、ここでいきなりタチアナは
待ったと手で制してくる。


「な、なんだよ。」


「先ほどは君が私に質問したのだ。
今度は私から君にしても構わないだろ?」


「いやまあ、いいけど。」


「ほ、本当か!? では、何を
聞こうか......」


「考えてなかったのかよ......」


「ま、待ってくれ! こうやって
君と話すのも最後かもしれ
ないのだ。少し、時間をくれ。」


そう言ってタチアナは必死に
悩みながら、ようやく俺の方を向いた。


「そうだ! 君の生まれ育った場所に
ついて知りたい!」


いつもは毅然としていて、
大人びいているタチアナだが、
今はまるで好奇心旺盛な子供の
ようだった。


「生まれ育った場所?」


「は、話したくないのであれば
無理にとは言わない。」


「いや、全然構わないけど、昔の
ことだからあんま覚えてないぞ?」


「少しでいい。知りたいのだ。」


俺はタチアナのその
キラキラとした視線に
やや尻込みしながらも


「んー。じゃあ何から話すかな......」


と、喋り始めた。


「俺の育った場所は日本って
いって、何て言うか......侍の
国だったな......」


「サムライ?」


「刀っていう細長い剣を腰に
つけてる人だよ。
それで人を斬ったり、自分が失敗した
時とかに腹を切って自殺したり
する。」


「ほ、本当か!? そ、そんな
物騒な者がいるところで君は
生まれ育ったのか!?」


「え? あ、うん。」


て、歴史で学んだだけだけど。
本当はバリバリ学生だったけど。



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