3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百四十七話 フリーズランド7

俺たちはその木の上に止まっている
鳥たちにゆっくり近づいていくが、
あと十メートルといったところで
止まっていた五羽の中の一匹が、
羽を広げて飛び立とうとする。


やべっ......


流石に近づきすぎたかと
後退しようか迷っていると


「ピィ! ピィ!」


とペルーが必死に呼び止める。
すると、そろって一緒に飛び立とうと
していた五羽の鳥の注目は、一気に
ペルーに集まる。


「ピィ!」


ペルーは自分は敵ではない。
仲間だ。とアピールしているのだろう。


「ピュルルルーー」


ペルーの必死の呼び掛けのかい
あってか、木の上に止まっていた
鳥たちがペルーに鳴き始める。


「ピィ! ピィ!」


「ピュルルル、ピュルルル」


「ピウ! ピウ!」


まるで笛の音のような鳴き声をする
五羽の鳥の真似を、必死にペルーは
しているようだった。


「ピュルルルー」


「ピユ!ピユユ!」


ペルーの鳴き声はますます五羽の
鳥たちに近づいていく。



そして


「ピュルル!! ピュル!」


まだ不恰好ではあるが
ペルーの鳴き声は五羽の鳥たちと
ほとんど一致した。


そして


「ピュルルル! ピュルルル!!!」


五羽の鳥たちは一斉に空に飛び立ち
ペルーの頭上を円を描きながら
飛び回り出した。


ペルーはそれを見て俺とタチアナを
交互に見る。


ペルーもわかっているのだ。
あの五羽が自分のことを
誘っていることに。


「行ってこいよ、ペルー。」


「ああ。隼人は君をここに
連れてくるためにここまで
来たのだぞ。何も気に病むことは
ない。」


その言葉を聞いてゆっくりと
ペルーはタチアナの肩を飛び立った。


一瞬ペルーは俺の顔を不安げに
見たが、俺はただそれに微笑み
返しただけだった。


タチアナの肩から飛び立った
ペルーはみるみるうちにスピードを
上げ、飛んでいる五羽の円の中心に
飛び込んでいく。
ペルーが五羽の飛んでいた高さを
越えると、五羽の鳥たちはペルーを
追いかけ、ペルーを囲いながら
飛び回り、一斉にペルー目掛けて
なにやら氷のブレスのようなものを
発射した。
一瞬攻撃されたのかとひやっと
したが、当のペルーは逆に
力がみなぎってきたように見える。
その証拠に今までペルーの羽は
薄い青色だったが、氷のブレスを
五羽の鳥たちに当てられたことに
よって、綺麗な青色へと変化した。


もしかしたら、ペルー達が今行っている
行動は仲間入りをするための儀式なの
かもしれない。



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