3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百十四話 仲間の捜索12

「じゃが、わしもできれば
少人数で挑んだ方がいいと
思うの......」


「少ない方が動きやすいですよねー!」


「あんたも船内に残れば?」


「嫌ですよー。僕もれっきとした
隊長ですから!」


「......では、こうしよう。
島に上陸するのは隊長五名のみだ。」


そのタチアナの言葉に
隊長以外の職業者達が
少し悔しそうな悲しそうな、
なんとも言えない表情を
する。


「ま、別に私はそれでもいいわよ。」


「僕もでーす!」


「で、でも五人は流石に......」


ヨーテルとルドルフがタチアナの
意見に賛成するなか、一人
サッちゃん隊長のみが同意しなかった。


「行方不明になったカクバさん
達のことも気になりますし......」


「......そうだな。私もそこが
心配だ。はたして、呪覆島に
いるカクバや兄様達は今どうしている
のか......」


敵を操ることのできるラーバが
その島にいて、その島には
他の隊長三人がもう既に上陸
しているらしい。
そのことが意味するのは、
その隊長三人がラーバに
操られているのではないのかという
一抹の不安だった。
もし、そうであればこの五人で
操られた三人を相手にラーバを
討伐しなければならない。
そのこともタチアナはしっかり
頭に入れているようで、
うーんと考え込む。



「それならもう何人か連れて
行くべきか......」


「せめて足引っ張らないような
人にしてくださいよ。
僕足手まといになる人嫌いなんで。」


「ルドルフ......もう少し言い方を......」


謎に口の悪いルドルフという
隊長をタチアナは
注意しようとしたがはぁと
ため息をついて諦めた。
そんな中一人の隊長が


「それならあいつも連れていきましょ。」


と俺を指差し、周りの注目が
俺に一気に集中する。


「はー? ヨーテルさんなんでよりにも
よってあんな回復魔法士を......」


そう。何か彼女は俺に恨みでもあるのか
それともまだ俺の正体を見破ろうと
しているのか、ヨーテルが俺を
指差したのだった。



「うん。私も同意だ。
回復魔法士は多い方がいいからな。」


「わしも賛成じゃな。」


「わ、私も!」


タチアナ、長老、そしてサッちゃん
隊長が次々に賛成する。


「えー......嘘でしょ......僕は──」


「はい、決まりね。次に行って
いいわよ。タチアナ。」


そう言って俺の意見とまだ反対をし
ている人を無視してヨーテルは
話を続けろと催促する。


そんな中、一瞬だけヨーテルは
俺の顔を見て、ふっと笑ったような
気がしたのだった。


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