3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百九十八話 再会を夢見て12

「うおおおおっ!!」


ナギは無我夢中で襲いかかる
敵をなぎ倒す。
その際、自分の血や敵の血が
あちこちに飛び散っていく。


「はぁ......はぁ......」


今にも途切れそうな息を吐きながら、
ナギは倒した敵の上を力のない
足取りで進んでいく。


「......」


目的地に着いたナギは血に染まった
自分の手で、人魚姫と過ごした
秘密の海への扉を開き、中に
入る。
そして、傷だらけの体にしみる
海の中をゆっくりと泳ぎ、最後の
ファラリオを丁寧に植えていった。


「よかった.....ようやく完成した......
人魚姫様......」


ナギはその満足感に浸っていたが、
それも直ぐに消え去った。


俺が......あの人を刺した......


ナギはようやく安心できる
場所で心を落ち着かせること
ができたせいか、段々と
今の現状を理解していく。


違う......俺じゃない!
俺は......俺は......!


しかし、何度も心の中で
否定しても、あの現実は
変わらない。
自分は血に染まったナイフを
持っていて、腹部に傷を
負った人魚姫を抱えていた。
そして、その人魚姫を自分は
あろうことか海に落としてしまった。
その光景が何度もフラッシュバック
する。


『後のことはお願いしますよ。』


加えて、もう一つ......ナギの頭で
何度もよみがえる物があった。


あいつだ......きっとあいつが
やったんだ。


事の真相に気がついたナギは
完成した小さな海に一瞥をくれる
こともなく、秘密の小さな海を
出て、その謎の魔族を倒そうと
決意した。


許さない! 俺が! 必ず......!















「じゃが......結局、わしは
その魔族に会うことすら叶わず、
絶え間なく襲ってくる魔族達に
屈し、命からがら逃げ出したんじゃ。
そして、わしは魔族達から逃げて
いる途中で足を滑らし、海に落下した。」


「......その後、どうなったんです?」


「わしがその後目を覚ました時、
そこはヤナハの浜辺じゃた。
恐らくじゃが、わしは海流にでも
流されて運良くその島に
たどり着いたんじゃと思う。
それからわしはその地に住んで
いた者達に助けられた。
その時じゃったの、魔族という
存在が地上では人間と戦争を
しておるということを知ったのも。
じゃから、わしは決心したんじゃ。
地上では様々な力を扱える職業者
となり、いつか必ず......あの魔族を
倒そうと。」



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