3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百九十七話 再会を夢見て11

その日のナギはとても気分がよかった。
なぜなら、彼は彼女に思いを告げ、
彼女はそれを受け入れてくれたから。
それを思い出すだけで嬉しさが
心のなかで爆発する。
加えて、人魚姫と一緒に作っていた
小さな海はほぼ完成間近だった。
ナギは軽い足取りでいつもの
場所に向かう。そのとき......


「うっ!? ............」


ナギはラーバによって操られた。
そのままナギは無意識の状態で呪術の
込められたナイフを手に持ち、
人魚姫のところに向かった。


「!?」


人魚姫は彼と彼の後ろにいる
魔族を見て、絶望した。
そして....今まで彼女のことが守りた
くて努力してきたナギが自分の手で、
必死に逃げようとするその彼女を
刺したのだった。










「ここは......」


目を覚ませばそこは崖の上だった。
それに何か重いものを自分が
抱えていることに気がつく。


「!?」


ナギは思わず、それから手を離して
しまった。すると、それはそのまま
海に落下し、それに何人もの魚人兵
たちが群がる。


「じゃあ、あなたには悪いですが、
後のことは頼みますよ。」


ナギはばっとその声の方を
振り向く。
そこには、自分を嘲笑うラーバの
姿があった。


「人間だ!!!」


頭の整理が追いつかないうちに、
ナギは見つかり、ナギは慌てて
エレディア村に逃げ込んだ。


あれは......自分が落としたあれは......


困惑しかながらも、ナギは
段々あの自分が落としたものの
正体に気がついた。


嘘だ......そんな......


そんな中、今度はエレディア村に
海底洞窟を通って魔族が襲来してきた。


どうする!? 俺は......俺は.......


ナギは必死に村を救いながら
人魚姫のことを考える。


今頃人魚姫様は海底の城で
治療を受けているのだろうか。


「ナギ! この岩を持ち上げてくれ!
これでこの海底洞窟を塞ごう!」


すると、村の仲間がそう言ってくる。


「......わ、わかった。」


もしも、この岩でこの道を封鎖すれば
俺はもう人魚姫様には会えなく
なるだろう.......


ナギはそう思いながら重たい
岩に触れる。
そのとき、ふとナギの頭にあることが
よぎった。


そうだった。まだ人魚姫様との
約束を果たしていなかった。
あと少しだったのに.......あと
もう一度あそこに行って、ファラリオ
を植えるだけで完成だったのに.......


ナギは悔しそうに岩をぐっと持ち上げる。


.......そうだ.....このまま人魚姫様と
会えなくなるくらいだったら、
いっそのこと.......


そう思い立ってナギはとある場所に
向かいファラリオを採ってくる。


「おい、ナギ! お前なにやってんだ!」

 
「お兄さん! まさか一人で海底洞窟に
残る気じゃ.......」


「.......」


皆の声はもはや、人魚姫の
ことでいっぱいのナギには届か
なかった。
それでもなんとかナギは心を
落ち着かせて、最後にこう言い
残したのだった。


「俺にはやらなきゃいけないことがある。」

「3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く