3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百七十八話 海底の城3

「この人が人魚姫か......」


俺はカプセルの中で眠る彼女に
目を奪われる。
髪は海の色をそのまま吸収
したかのような綺麗なブルー。
肌は透き通るように真っ白で、
装飾された美しい衣装を
まとい、どこか神々しさを
醸し出している。



「さあ、こっからはあんたの
出番よ。本当に呪いを解除できるん
でしょうね?」


「......やってみます。
なあ、ワイン。人魚姫様を
このカプセルから取り出して
いいか?」


「は? なに言って──」


「いい。」


「おい、 ワイン! いいのかよ!」


「ここはあいつらに任してみよう。
おい、そのかわり回復カプセルは
壊さないでくれよ。」


「わかった。」


俺はワインから了承を得て、
回復カプセルの横に設置された
機械のボタンを適当に押してみる。


「ちょっと、そんな雑に......」


後ろでヨーテルが何か言っていたが、
それとほぼ同時に回復カプセルの
中の液体が外に漏れだした。
もちろん、ここは海のなかなので
その回復カプセルを満たしていた
謎の緑色の液体がまるでガスのように
あたりに漂う。
そして、俺はさらにボタンを
ポチポチ押していく。


すると、ようやくパカッと音を立てて
カプセルが開き、中の人魚姫が
海に浮かんだ。
俺はそれを丁寧に抱え、さっそく
治療に取り掛かる。



「どう? 治せるの?」


「少し、症状を探ってみます。」


俺はヨーテルにそう言いながら、
人魚姫が負ったという腹部の
傷を見てみた



「傷は痕が少し残っているだけで
完治してますね。」


「へー、じゃあこの回復カプセルは
ただの飾りじゃなかったみたいね。」



またそうやってヨーテルはビールを
挑発し、挑発にのろうとした
ビールをワインが止めた。


そして俺は人魚姫が目覚めない
要因であろう呪いの治療に
移った。



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