3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百七十七話 海底の城2

人魚姫の眠る海底の城の
全貌をとらえた俺たちは、
以外にもあっさりと城内に
侵入できた。
というのも、今現在魚人兵達は
陸上で俺達の仲間と戦っているため、
ほとんどの警備兵も駆り出されて
いるらしい。
そもそも人間たちが
海底まで来れるはずがないため、
厳重な警備をしておく必要も
ないのだろう。



一方、城内は色とりどりの貝殻で
装飾され、いかにも
高級な建築物だった。
だが、今は魔法の効果が効いているため
ここまで鮮明に城内を見ることが
できるが、魔法なしでは
ここは真っ暗で何も
見えないのかもしれない。



「ここだ。ここに姫様が眠って
おられる。」


そう言って、案内役のワインは
とある巨大な扉の前に立ち止まった。


「えらく大きな扉ね。鍵は?
閉まってないの?」


「鍵はかかっいる。けど、
それについては大丈夫だ。」


「どうするんだ?」


俺の問いに、ワインは
扉の横につけられた長方形の
機器に手をかざす。


「へー、あんたたちにもそういう
技術があるのね。」


その長方形の機器からなにやら
光のレーダーが放たれ、
ワインの手をスキャンする。


「馬鹿にするな。俺達魚人族の
科学はお前ら糞人間どもより
進んでる。」


「そう、でも陸では石ころを
投げることしかできないのね。」


ビールの挑発にのることなく、
今度は逆にヨーテルが
挑発しかえす。
その挑発にのろうとしたビールを
めんどくさそうにワインが止めた。


「開いたぞ。くれぐれも
姫様が眠っている回復カプセルは
壊さないでくれ。」












扉の中はなにやら訳のわからない
機械が中央に設置されている
回復カプセルのまわりに点々とあった。
よくよく見れば、その一つ一つが
心拍数を測定するものや、血液が
貯められているものなど、ほとんどが
医療機器だった。



「こいつね。その呪いで目覚めない
魔族は。」



「おい! なんだその言い方は!」


「やめろってビール。もう
この人間たちしか頼れないんだよ。」


「けどよ──」


そう言い合っているビールとワインの
横を通って、俺は回復カプセルに
顔を近づける。


「......」


そのあまりにも優美な姿に俺は
言葉を失った。

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