3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百七十五話 三日月島40

「魔法の効果は十分もないから
せいぜい死なないように
がんばんなさいね。」


「十分......」


短すぎィ......


「何よ、文句あるわけ?」


「......ないです......」


今にも殺されそうなほどの
彼女の鋭い睨みに俺は
そう答えるしかなかった。


「それなら、ヨーテルちゃんも
ついていってやればよかろう。」


そんな俺を見かねて助けに入ったのは
長老だった。













「ね! 嘘でしょ! 長老。本当に
私もその人魚のとこまで同行しろって
言うの!?」


「仕方なかろう。ヨーテルちゃんが
いなければ、隼人くんが帰ってくる前に
溺れてしまう。」


「こんな男、別に溺れても
いいじゃない。」


それからしばらく彼女は
嫌だと言って聞かなかったが、結局は
長老に何度も頼まれて、嫌々ながらに
了承した。


「それじゃあ、頼んだぞ。
ヨーテルちゃん。隼人君。
それと二人の魚人兵の者よ。」


ビールはここに一人で残るよりかは
ワインと共に海底に行くことを
決めたようで、人魚姫を
助けに向かうのは俺、大魔法士の
ヨーテル、そして二人の魚人の
計四人となった。


長老の言葉にビールは
少しも反応することなく、
なにやらぶつぶつと愚痴を言っている
ようだった。


「隼人、そのリュックをしょって
いては、ペルーが溺れてしまう。
ペルーは私が預かっておこう。」


「あ、あぁ、そうだな。助かる。」


俺は未だぐっすり眠っている
ペルーをおこさないように、
ゆっくりタチアナに渡す。


それをジーッと見ていたヨーテルに



「なんかあんたら随分仲がいいわね。」


と言われてしまった。












「おお、そうじゃった、そうじゃった。
隼人君。頼まれてほしいこと
があったんじゃ。」


ヨーテルが駄々をこねたことで
結局スカイリムの効果が切れて
しまったことにより、もう一度
ヨーテルにスカイリムをかけてもらって
いよいよ海底に出発しようとした
ところで、急に長老に呼び止められた。


「なんです?」



「もし、人魚姫様が目覚めたら──」









「どういう意味ですか?」


「すまぬが訳を聞かずに
頼まれてくれんかの。」


長老の真剣な眼差しに
それ以上聞くことができず、俺は



「......わかりました。」


とだけしか言えなかった。



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