3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百五十四話 三日月島19

「このへんで良さそうね。」


海から脱出し、三日月島の上空を
飛んでいたヨーテルとアルナは
手頃な茂みを見つけて身を隠した。


「ヨーテル様、あの巨大な影は
一体なんだったのでしょう。」


「さあね。空の上から見たときは
魚の影かと思ったけど、
海の中から見ても影だったわ。
これは推測だけど、おそらく何ら
かの魔法の可能性があるわね。」



「魔法ですか。ではあれは魚人の
皆さんの魔法なのでしょうか?」


「......どうかしら......魚人が魔法を
使うなんて聞いたこともないけど......
そんなことよりも、先にあいつらを
助けてあげなきゃね。」



「そうですね。しかし、空から見ても
海面に連れていかれてた皆さんの
姿が何処にもなかったようですけど......」


「......おそらく何処かで捕まって
いるのよ。はぁ......こんなとき、
長老がいてくれたら一瞬で居場所を
占って貰えるのに......」



そう言うとヨーテルは自分のほうきを
空に上げる。



「出てきなさい。カラス!」


その言葉に答えるように
ほうきの先端から黒いミニブラック
ホールのようなものが形成され、
そこから三羽の小さな黒い鳥が
出てきた。


「わぁ......可愛いですね。」


「私の使い魔よ。この子達に
島の偵察をしてもらうわ。
ほら、行きなさい。」


ヨーテルの号令がかかると三羽の
鳥はそれぞればらばらの方向に
飛んでいった。



「皆さんの居場所が見つかると
いいんですけど......」



「そうね......」


ヨーテルとアルナは、少し不安げに
カラス達が飛び立っていった空を
眺めていた。

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