3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百四十五話 三日月島10

魚人と人間。互いに緊張状態が
続く。
大人しく運ばれてみたものの、
一向に何もしてこない魚人に
対して、ルドルフはどうするべきかと
苦悩していた、そのとき


バシャン!


船の真下から何かが船内に飛び込んできた。


「魚人だああ!!!」


一人の職業者が叫び声を上げ、剣を
構える。


「待て!」


ルドルフは敵のど真ん中にたった
一人で飛び込んできた魚人に何か
違和感を感じて、その者を止めた。


「聞け!」


すると、船に乗り込んできた
魚人がその場で大声を出した。



「人間ども! 貴様らはもうすでに
包囲されている。今すぐ武器を海の
中に投げ捨てろ!」


「な、何をバカな──」


ルドルフは思わずそう口にすると
魚人はルドルフを睨み付けた。


「もう一度言う! 貴様らは包囲されてい
る。今すぐ武器を捨て、我々に投降せよ!
大人しく投降すれば命までは取らない!」


「言いたいのはそれだけか! さっさと
出ていけ!」


「そうだそうだ! この船から出ていけ!
じゃねぇと今すぐ殺すぞ!」


魚人の申し出に、職業者達は
ざわめきだす。


「勘違いするな。これは警告だ。
ここで投降しておくのが貴様らの
為だと思うがな。」


「ふざけるな! お前ら魔族に服従する
くれぇなら、死んだ方がましだ!」


「そうだそうだ!」


職業者達はルドルフの命令無しに、
今にもこの魚人に襲いかかろうと
している。


その反応を見た魚人はやれやれと
ため息をついた。


「もういい。はなっから貴様ら糞人間
どもが我々の命令に従うなど
微塵も思っていない。
いいだろう。あとで後悔するがいい。
我らの力と幹部の恐ろしさを!」


その魚人はそう吐き捨てると、
右手を上げる。


それが戦闘開始の合図だということは
その場にいる誰もが瞬時に理解
できた。

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