3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

六十二話 選抜試験21

「そうだ。君は不合格だよ、鼠。」



「ふざけんなや! この試験を合格す
んにはバッチを保持してへんとダメ
やったんやなかったんか!」


「あれは嘘だよ。」


「嘘!? 」


「そう、試験前にカクバが言った
バッチを持った人間が
合格できるというのは全くの嘘。
合格条件は他にある。」


「なんや、その他の合格条件って。」


「それは自分で考えてみろ。
他の候補者と自分との間で欠けていた
ものは何かを。」


「......」



「でないようだな......ではヒントを
やろう。どうして私たちは君達を
わざわざ班にわけたのだ?」


「......そんなもん......回復職のやつらに
も合格できるチャンスを与えるため
とかちゃうんか......」


「はぁ......違うな......」


「じゃあ、一体なんのためや!
何がわいに足りなかったんや!」


「協調性。」


上階の彼女の言葉が冷たく
鼠やろうを突き放す。



「は、はあ?」


「この試験で我々が審査していたのは、
強さや頭の良さ、ではなく、
仲間と協力できているかどうかだ。
君にはそれができていたか?」


「......ふ、ふざけんなや!
魔王討伐軍に入る為になんで協調性
が必要なんや!
そんなもんより他にもっと──」


「もし、もしもだ。
魔王討伐軍が本格的に活動したと
する。そうすれば、おそらく、我々は
幾多の危機に見舞われるだろう。
誰か一人の過ちで、軍全てが
壊滅する可能性だってがあるかもしれ
ない。そんな中、君のような自分の
利益しか考えることのできない奴が、
軍にいたらどうなる?
はたして、魔王の討伐なんかできる
だろうか。」


彼女は狼狽える鼠を逃がさないよう
に凝視する。


「どう思う? 鼠。私の
意見に何か反論があるなら聞こう。」



「ええぇい!! もうええ!!
帝国精鋭隊だからといって偉そうに!
所詮は小娘の分際で!!」


鼠やろうは悔しそうに歯をぎしぎし
させると、何かが吹っ切れたかのように



「アイス! スマッシュ!」


と、氷の魔法を彼女に撃ったのだった。



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